「豚コレラ」ワクチン接種へ防疫指針を改定へ-農水省2019年9月20日
農林水産省は関東地方にまで拡大した豚コレラに対して、現在は実施しないと規定している防疫指針を改定し、予防的ワクチンを接種できるよう検討を進める方針を決めた。自民党は20日に農林・食料戦略調査会と農林部会の合同会議を開き、「豚コレラ対策の充実に関する決議」を採択し、ワクチン接種に向けた準備を進めるよう政府に求めた。
9月20日の自民党の会合
現在の豚コレラに関する防疫指針では、予防的ワクチンの接種については、感染事例と区別がつかないことで非清浄国とされることなどから接種は行わず、防疫措置は早期発見と患畜の迅速な殺処分を原則としている。農場は感染を防ぐよう飼養衛生管理を徹底させてきた。
しかし、17日には埼玉県で2例目が発生し関東地方まで広がり、自民党の会合で野村哲郎農林部会長は「新たなステージを迎えたという認識が必要だ」と話した。
農水省は防疫指針で認められているまん延防止のための緊急ワクチンの接種を検討してきたが、農水省の新井ゆたか消費・安全局長は、野生イノシシに豚コレラ感染が広がり「その議論をしている時期ではない」と話し、飼養衛生管理の徹底に加えて、予防的ワクチンも検討していく段階に入っているとの認識を示した。
改定に向けては、農水省の審議会(食農審家畜衛生部会)に農相が意見を聞いて改定する。その後、改定された防疫指針に基づいて都道府県知事が必要な地域でワクチン接種するよう命令を出す。ワクチン接種にあたる家畜防疫員の任命も知事が行うという。
ただ、予防ワクチンの接種には検討課題も多い。対象地域の選定や必要なワクチン量の確保、豚肉の流通などが課題になる。
自民党は決議で農家が安心して養豚経営ができるよう防疫指針を改定することや、同時に風評被害が生じないよう事業者、消費者への情報周知に万全を期すこと、農場防護柵の整備を強力に推進すること、経口ワクチンベルトの構築による野生イノシシ対策の強化などを求めた。
(関連記事)
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