米の消費減退 歯止めで議論-食糧部会2019年11月22日
米の基本指針を検討した11月20日の食糧部会では飼料用米、麦、大豆など需要が高まっている品目への主食用米からの作付け転換の課題と同時に米の消費減退にいかに歯止めをかけ、水田を維持していくかについても意見が相次いだ。
◆2年後は600万t台に?
農林水産省が決めた令和2年産の主食用米の適正生産量は708万t~717万t。需要量は毎年10万t程度減少しているため来年は来年にも適正生産量は600万t台になることも考えられることから、農水省も「危機感を覚えている。水田フル活用に今一度力を入れていかなければならない」との認識を示す。
そのため需要が高まっている麦・大豆の生産を増やすことと同時に、消費拡大の余地がある外食・中食向けのニーズを捉えた主食用米の生産も課題になるとした。
ただし、米業界関係者は今年はとくに1等米が少ない状況に危機感があると指摘した。神明ホールディングスの藤尾益雄社長は米の需給に「タイト感がある」と話し、エンドユーザーも量の安定供給に不安を持っており、すでに「来年の端境期まで(供給が)持つのかと考えている」という。年間を通した供給に不安があるために、たとえば量販店も新米セールなどを今年は行っていない。それが消費減少にもつながっているのではないかと見る。
一方でパックごはんの売上げは10年前の10万tが現在19万tと倍近く増えていることを挙げ、「ライフスタイルの変化」に対応した生産、加工が必要だと指摘した。
また、農水省は炭水化物がダイエットに良くないという間違った情報もあるため、米の機能性をどう伝えていくか、特性を科学的に把握して国民に伝えていく必要性も強調した。
生産者委員の山形川西産直センターの平田勝越代表取締役は、流通サイドの意見について「産地と流通の間でもっと情報のやりとりをしていかないと、足元を崩すことになると感じた」と話すとともに、生産現場では高齢化が深刻化しており、水田農業の持続のためには新しい栽培体系や新技術の導入が差し迫られていることも強調した。
食糧部会ではそのほか米の消費の長期見通しを示して政策を検討すべきとの意見や、高温障害など米の品質劣化への対応、気候変動の影響による将来見通しなどもふまえて計画を立てるべきではないかとの意見もあった。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
【石破首相退陣に思う】戦後80年の歴史認識 最後に示せ 社民党党首 福島みずほ参議院議員2025年9月16日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
「JA共済アプリ」が国際的デザイン賞「Red Dot Design Award2025」受賞 国内の共済団体・保険会社として初 JA共済連2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
公式キャラ「トゥンクトゥンク」が大阪万博「ミャクミャク」と初コラボ商品 国際園芸博覧会協会2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日