棚田地域の振興策など提案-農水省の若手職員2019年12月27日
農林水産省は12月23日に「政策Open Lab」プロジェクトのプレス向け報告会を開いた。
政策Open Labは、意欲ある職員が時代の変化を見通して政策立案していくための現場調査などを支援する仕組みとして昨年4月に始まった。若手職員が所属部署にかかわらず関心のあるテーマで自らチームを結成し1年間のプロジェクトとして提案する。これまでに12件の申請があり8件が採択された。
業務時間の1~2割をプロジェクトのために活動し調査のための予算も活用できる。活動を助言、指導するメンター幹部も配置する。省内報告会は11月に行われた。
報告会では▽棚田から始まる新たな農村振興(棚田女子プロジェクト)、▽農業経営体におけるBCP策定に向けた研究、▽日本農業のモデルルームの国際展開の3つのプロジェクトメンバーが報告した。
棚田女子プロジェクトは各地の棚田を訪ね関係者の活動や考えを聞いた。なかには有機栽培米を健康維持をアピールして輸出も視野に棚田の保全活動をしている地域もあった。プロジェクトメンバーはこうした事例をふまえて棚田地域の農業や米の魅力を評価する指標づくりとともに、棚田地域にサテライトオフィスを開設するなどの農業以外の価値の提案・発信など新たな経済的価値を生む提案も今後検討していきたいという。メンバーの1人は「生産性は低くても地域を守る生活ができるよう、それぞれの地域で参考になるモデルづくりにつなげたい」と話す。
農業経営でBCP(事業継続計画)策定はまだまだ認知度低いことが分かった。ただ、農業は自然災害のリスクにさらされており、事業の継続性確保のための計画策定は緊急時の食の安定供給や地域貢献などの使命を果たすことになる。
プロジェクトチームはBCP策定の必要性について、JAなど支援機関を通じて地道に現場で普及していくことや、収入保険制度での保険料優遇、認定農業者制度における要件化などのインセンティブの検討も必要ではないかと提起した。
日本農業のモデルルーム展開プロジェクトは、優れた日本の農業技術を外国で実証しようというもので、インドで実証ほ場を設置した。インドは人口が増加しており、経済発展も著しいことから大きな潜在需要がある。プロジェクトは世界の人口増加に対応した食料需給に改善を目的する。
国内の種苗、農薬、食品、輸送などの企業に呼びかけたところ13社が参画し、クジャラート州アーナンドの40aのほ場でトマト、キュウリ、キャベツを11月に作付けた。管理は現地の自営女性協会に依頼した。1月から収穫を開始し3月のインドの高級スーパーで販売する予定。日本の農業・食品関係の企業が海外に進出することを支援する取り組みでもある。プロジェクトメンバーは日本の農業関連業界が海外進出して高評価を得ることは日本農業にとってもメリットになると話す。
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