ダイズ198種類のゲノム配列を比較 農研機構、かずさDNA研究所などが共同研究2021年2月9日
農研機構は2月5日、かずさDNA研究所と東京大学大学院農学生命科学研究科との共同研究で、日本と世界の198種類のダイズの全ゲノム情報を解読したと発表。国際学術雑誌「DNA Research」で1月25日にオンラインで公開した。
ダイズのコアコレクションの一部(農研機構遺伝資源センター提供)
農研機構の遺伝資源センターでは、ダイズに関連した遺伝資源を約1万点保有し、その中から少数の代表的な品種・系統のセットを選び、コアコレクションやミニコアコレクションとして保管している。このうち192系統で構成されるミニコアコレクションは、少数の材料で多様な情報が得られるため、病気や農薬、環境ストレスに対する抵抗性や有用成分のスクリーニングなどに利用されている。
今回の研究では、ダイズのミニコアコレクション192系統に、ダイズの祖先種であるツルマメや実験で利用されるダイズ品種など6つの系統を加えた計198系統の全ゲノム配列解析を行い、DNA配列の違いを調べた。ダイズでこれだけの数のゲノム配列を網羅的に比較した研究は国内では初となる。
その結果、198種類のダイズは原始的なダイズ、海外のダイズ、日本のダイズの3つのサブグループに分類でき、日本のダイズは栽培化や育種の過程で日本の風土に適した品種が選抜され、独自の進化を遂げた可能性が示唆された。また、この研究で得た遺伝子の変異情報を活用することで、ダイズの多様な種子色の原因となる変異や開花を制御する遺伝子の特定に至った。
今後の研究成果から得たゲノムや遺伝子変異に関する情報を日本のダイズの品種改良に役立てるほか、環境ストレス耐性が飛躍的に向上した品種開発など、世界のさまざまな地域に適応したダイズの品種育成が期待できるとしている。
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