食料自給力 労働力減少で低下-令和2年度2021年8月26日
農林水産省が8月25日に公表した食料自給力指標は、農地の減少に加え、農業者の減少による労働力の減少で前年度を下回った。労働力の確保や省力化などの技術改善が重要になっている。
食料自給力指標は、国産生産のみでどれだけの食料を生産することが可能かという「食料の潜在生産能力」を示す。花など非食用農地や不作付地も含めた農地など農業資源、農業技術、農業労働力に着目して試算している。令和2年からは省力化の農業技術も考慮している。
令和2年度の自給力指標は米・麦中心の作付けでは1人1日あたり1759kcalとなった。小麦の平均単収が増加したものの、農地面積が減少したことから前年度を2kcal/人・日下回った。
1人あたり1日に必要な推定エネルギー量は2168Kcalとされており、米・麦中心の作付けでは必要なエネルギーをまかなうことができない。
一方、いも類中心に最大限農地を活用して作付けした場合は2563Kcal/人・日となった。推定エネルギー必要量を上回るものの、農地面積が減少し、甘藷の単収が低下したことから、前年度を37kcal/人・日下回る結果となった。
ただし、労働力を考慮すると、農業者が減って延べ労働時間が減少し、労働充足率が▲8ポイント低下したことから2162kcal/人・日となり、推定エネルギー必要量を下回る。前年度からは229kcal/人・日下回った。
農地と労働力をともに最大限活用する作付けでは2500kcal/人・日となり、前年度を62kcal下回った。
農地面積は令和2年度の437.2万haに加えて再生利用可能な荒廃農地面積9.1万haの活用を含めている。
また、推定エネルギー必要量とは、1人・1日当たりの「そのときの体重を保つために適当なエネルギー」とされる。
食料自給力指標は農地面積の減少で低下傾向で推移している。そのなかで米・小麦中心の作付けで供給できるエネルギーは必要なカロリー量には届かないが、平成17年度の1773kcalから1700kcal台で横ばい維持している。これは小麦の単収増加が要因だ。
一方、いも類中心の作付けは労働力をより必要とするため延べ労働時間の減少で供給エネルギーが減っている。平成17年では2730kcal/人・日が令和2年度は2452kcal/人・日となった。2500kcalとしたのは再生可能な荒廃農地でも作付けした場合の試算値だ。
農水省は食料自給力を維持し向上させるには、農地の確保、単収の向上に加え、労働力の確保と省力化などの技術改善が重要としている。それらの確保を見込み、2030(令和12)年度には、いも類中心の作付けで2567kcal/人・日、米・小麦中心の作付けで1802kcal/人・日へ向上できると試算している。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
ふるさと納税でこどもたちに食・体験を届ける「こどもふるさと便」 IMPACT STARTUP SUMMIT 2025で紹介 ネッスー2025年10月17日
-
全地形型プラットフォーム車両「KATR」、レッドドット・デザイン賞を受賞 クボタ2025年10月17日
-
農業分野初「マッスルスーツSoft-Power」と「COOL-VEST」を同時導入 イノフィス2025年10月17日
-
伝統のやぐら干し「産直大根ぬか漬けたくあん」がグッドデザイン賞受賞 パルシステム2025年10月17日
-
鳥インフル 米モンタナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月17日
-
鳥インフル 米アイダホ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月17日