農業と地球温暖化 20代 他世代より高い関心?農水省調査2022年4月22日
農林水産省が4月20日に公表した「農業分野の地球温暖化緩和策に関する意識・意向調査」では1000人の消費者からも回答を得ている。回答をみると、農業や食品の地球温暖化への影響について、若い世代(20~29歳)で他世代より認知度や関心が高いことがうかがわれる。
農地で温室効果ガスが排出されたり、逆に土壌が吸収源となっていることを知っていたかを聞いたところ、全体では「知っていた」26.7%、「知らなかった」が73.3%だった。
これを年齢別にみると「知っていた」は「20~29歳」で35.8%と世代別でもっとも高いという結果となった。ちなみに「30~39歳は16.0%。20代の半分以下となっている。
環境に配慮した農産物を購入する際に、想定する環境への影響を聞いたところ(複数回答)、全体では「化学農薬や化学肥料の使用量が少ない」77.2%、「包装資材が過剰でないこと」49.2%、「生物多様性への影響が少ないこと」31.6%、「生産から販売まで温室効果ガスの発生量が少ないこと」21.7%、の順となった。
このうち、「生産から販売までの温室効果ガスの発生量が少ないこと」は「20~29歳」では34.2%と世代別ではもっとも高い。他世代は18%~28%程度で30%を超えた世代はない。
栽培過程で温室効果ガスの排出が少ない農産物を買いたいと思うかについて、全体では「他の農産物と同価格であれば買いたい」69.7%、「値段に関係なく買いたいと思う」7.0%、「他の農産物以上の価格であれば買いたいと思わない」13.1%だった。
このうち「値段に関係なく買いたいと思う」は、他世代が3%~7%台にとどまったのに対して「20~29歳」だけ10.8%と1割を超えた。もっとも「他の農産物以上の価格であれば買いたいとは思わない」は15.0%と他の世代よりも多く、この点では二極化した。
今回の「20~29歳」の回答者像は配偶者が「いる」23.3%、「いない」76.7%。同居する18歳以下の子どもは「いる」11.7%、「いない」88.3%だった。子どもがいる人は1割で独身者が8割近いというのが今回の20代の回答者。いくつかの項目で他世代より農業と地球温暖化との関連に認知度や関心の高さが示されたことは注目される。
ただ、温室効果ガスの排出が少ない農産物を「買わない」という人の理由として、「自分一人の行動で何かが変わると思えないから」は55.6%と世代別でトップとなっているという面もある。もちろんこの項目は他世代でも低いわけではなく、地球温暖化問題を自分ごととして考えるべきという課題は世代を問わないことだろう。
アンケートでは販売促進に役立つ方法として「判別できる表示の実施」44.9%、「栽培方法の紹介」が43.8%、「栽培段階で温室効果ガスを排出、あるいは吸収していることの周知」が40.6%だった。今後、表示を検討する必要もありそうだ。
みどり戦略法案では、消費者にも「環境への負荷の低減に資する農林水産物等を選択するよう努めなければならない」ことが盛り込まれている。今回のアンケートでは「他の農産物と同じ価格であれば買う」が7割を占めた。農産物の「適正な価格」への理解醸成も課題となる。
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