みどり戦略法案 環境負荷低減品 消費者「選択努力」を明記2022年2月14日
農林水産省は2月10日の自民党の総合農林政策調査会・農林部会合同会議にみどりの食料戦略法案の条文を示して了承された。今後国会に提出され国会での議論が注目される。
土づくりと減農薬化学肥料を条文に
みどり戦略法案の正式名称は「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」。
第2条の「定義」で「食料システム」について、生産から消費までの各段階の関係者が「有機的に連携することにより、全体として機能を発揮する一連の活動」と定義する。
また、「環境と調和のとれた食料システム」とは、農林水産物の生産、加工流通などの過程において「環境への負荷の低減が図られ、かつ、当該農林水産物等の流通及び消費が広く行われる食料システム」と定義する。
「環境負荷低減事業活動」については、農林漁業の持続性を確保できる活動として具体的に、「たい肥その他の有機質資材の施用により土壌の性質を改善させ」と土づくりを挙げるとともに、「化学的に合成された肥料及び農薬の施用及び使用を減少させる技術を用いて行われる生産方式」と減農薬減化学肥料の栽培を明記する。
また、「温室効果ガスの排出の量の削減に資する事業活動も挙げ、その他は省令で定めるとしている。
第3条の基本理念では、将来にわたり農業や食品産業の持続的な発展と食料の安定供給を確保を図るためには「生産等の各段階において環境への負荷の低減に取り組むことが重要であることを踏まえ、......農林漁業者、食品産業の事業者、消費者その他の食料システムの関係者の理解の下に、これらの者が連携することにより、その確立が図られなければならない」としている。また、技術の研究開発や活用推進の明記する。
みどり戦略実現のために、国の責務として「必要な施策を総合的に策定し、実施する」とした。地方公共団体の責務は、「国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し実施する」としている。
「事業者及び消費者の努力」も第6条で定める。
消費者は「選択」する努力を
農業者や食品産業などは「環境への負荷の低減に資するための生産等の方式の導入、資材及び原材料の調達、農林水産物等の流通の確保その他の取り組み」に努力することが条文に盛り込まれている。
一方、消費者についても「環境への負荷の低減に資する農林水産物等を選択するよう努めなければならない」ことが盛り込まれる。消費者にも環境負荷の少ない方式で生産された農産物を「選択」することを努力するよう法律で位置づけることになる。そのため同法では第2章の国が構ずべき施策として第7条で「食料システムの関係者の理解の増進」を掲げ、生産者はもちろん、消費者にも理解と関心を高めるよう広報活動の充実など必要な措置を講じることを明記する。
環境に配慮し持続可能な農業を実現することは重要だが、生産者の努力が評価される必要もある。同法では、消費者は環境に配慮された生産による農産物を「選択」するよう努めることを求めることになる。
JA全中の中家会長は2月10日の定例会見で「環境に優しいことは重要だが所得が持続可能であることも重要。環境負荷軽減がどう価格に反映されるか、国民的な施策として重要になってくる」と強調した。法案の議論を通じて、生産者と消費者双方の関心が高まることが期待される。
重要な記事
最新の記事
-
たまねぎべと病 近畿、中国、四国で多発のおそれ 令和6年度病害虫発生予報第1号 農水省2024年4月18日
-
春メロン4億円の販売を目指す JAくま2024年4月18日
-
JAグループのガソリンスタンドに急速充電器「DMM EV CHARGE」導入2024年4月18日
-
入会牧野【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第287回2024年4月18日
-
チューリップ切り花が復活の兆し【花づくりの現場から 宇田明】第33回2024年4月18日
-
東京農大と共同研究 良食味米「コシヒカリ」で低糖質米を実現 栽培手法を確立 ジェイフロンティア2024年4月18日
-
Oisix「おいしくアップサイクル ふぞろいキウイチップス」など3種発売2024年4月18日
-
「飯縄山」からの伏流水で育つ米と玄米の直売市開催 長野県飯綱町2024年4月18日
-
「食品製造現場におけるロボット等導入及び運用時の衛生管理ガイドライン」を策定 農水省2024年4月18日
-
「みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業」実施計画認定を取得 アイアグリ2024年4月18日
-
微粉砕加工で機能性を付与 北海道産小麦粉「CRONOS」発売 小田象製粉2024年4月18日
-
発色が早いわい性ハボタン「ローブ ホワイト」種子発売 サカタのタネ2024年4月18日
-
日本の原風景「棚田」の魅力を1枚に「棚田カード」第4弾を発行 農水省2024年4月18日
-
鳥インフル ブルガリアからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年4月18日
-
次世代へ繋がる循環型酪農・林業へ 三井住友フィナンシャルグループと協業 ホウライ2024年4月18日
-
国内最大級のドローン専門展示会「第9回JapanDrone2024」6月5日から開催2024年4月18日
-
吉田羊が情感たっぷりに 新CM「すごいよ パウダールウ」篇 エスビー食品2024年4月18日
-
回収したメタンガスを有機肥料へ転換 米Windfall Bio社へ出資 NCIF2024年4月18日
-
安全性検査をクリアの農業機械 農用トラクターなど1機種25型式を公表 農研機構2024年4月18日
-
ロボットの群れが水稲直播 新型「雷鳥1号」播種対応モデル発表 テムザック2024年4月18日