学校給食に有機食品を 内外の取り組み事例を共有 全国の首長ら4000人参加のフォーラム2022年10月28日
学校給食に有機農産物の導入を働きかける生産者グループや市民団体は10月26日、東京都中野区で「全国オーガニック給食フォーラムを開いた。先進的な取り組みをしている千葉県いすみ市の太田洋市長をはじめ、オンラインを含め40余りの市町村の首長らが参加。フランスや韓国など海外も含め、それぞれの取り組み事例を共有。約4000人(実出席1000人)が参加し、学校給食を有機農産物に切り替える運動を転換していく「オーガニック宣言」を採択した。
フォーラム実行委員長の千葉県いすみ市の太田洋市長は、市内の学校給食で100%有機米を実現した実績を踏まえ、その意義を「持続可能な農業の実現は次代へ向けた我々の責務だ」と、子どもたちへの給食から始める有機農業の意義を強調した。
海外の取り組みでは、フランスの「エガリム法」が紹介された。「農業・食品業の均等な取引および健康で持続可能な食生活の推進に関する法律」で、給食に関しては購入価格ベースで高品質な食材を最低限50%(うち有機食材20%)にすることなどを義務づけている。
韓国では「親環境無償給食」が全国で実施されている。食中毒の頻発を契機に始まった韓国の新環境無償給食は、当初、合成農薬や化学肥料などの使用を抑えるものだったが、現在は無農薬と有機農業が認定されている。親環境無償給食は幼稚園、小中学校で原則100%使用だが、実際に供給する農産物の70~80%が親環境無償給食になっている。
報告した慶熙大学兼任教授の姜及榮(カン・ネヨン)さんは「親環境無償給食は、国民と未来世代に安全で健康と環境に配慮した食べ物を持続的に供給するという韓国のフードプランにつながっている」と、運動の広がりを実感している。
国内からは、宮崎県綾町、愛媛県今治市、千葉県木更津市、新潟県佐渡市のそれぞれ有機農業、学校給食を通じた食農教育などの報告があった。JAの取り組みでは、茨城県のJA常陸が、子会社の「アグリサポート」で有機野菜の栽培を始め、市内の小中学校にジャガイモを提供している。タマネギもダイコンも作り、有機認証も取得して、学校給食への供給を9割まで拡大したいと考えている。同JAの秋山豊組合長は「昭和30年代まで、日本はほとんど有機農業だった。これ以上自然環境を壊すと国民に必要な食料供給もできなくなる」と、有機農業の必要性を訴えた。
オーガニック給食宣言では、「給食をオーガニックにすることは、地域の農業を支え、食料自給率を上げ、環境を守り,私たちの身体を健やかに育み、雇用や経済までをも豊かに変えることのできる最善の方法」として、「より安心で安全オーガニック給食に変えていくために全国に仲間たちと力を合わせていくこと」を確認した。
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