トマトのコナジラミ類 関東、九州などで多発のおそれ 令和4年度病害虫発生予報10号 農水省2023年3月9日
農水省は3月8日、令和4年度病害虫発生予報第10号を発表した。野菜では、トマトのコナジラミ類の発生が、関東、東海四国および九州の一部の地域で多くなると予想されている。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
・虫による被害の発生が懸念される地域では、効果の高い育苗箱施用剤による防除の実施についても検討を。
・昨年、いもち病、もみ枯細菌病、ばか苗病等の種子伝染性病害の発生が多かった地域では、種子消毒を的確に実施し、健全な苗の育成に努める。薬剤感受性の低下が見られる場合があるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、効果の高い薬剤を選定し種子消毒を実施する。また、塩水選や温湯消毒など物理的防除を実施する場合には、消毒効果を確実に得られるように、病害虫防除所等が示す手順・方法に沿って適切に実施する。
・縞葉枯病は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、経卵伝染するため、本虫を対象とした防除を実施することが重要。近年、本虫の発生が増加傾向にある地域では、越冬量を抑制するため、冬期間中にイネ科雑草の除去及び再生株(ひこばえ)のすき込みを行うことが効果的。未実施の地域では速やかに実施を。
また、近年、同ウイルスを保毒している本虫の割合が高まっている地域では、育苗箱施用剤による防除の実施についても検討する。
・スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は、昨年多発生となった地域では、多くの貝が越冬しているおそれがある。今春の被害を抑えるため、移植前に取水口・排水口にネットや金網を設置するとともに、水田内の発生が多い場合には石灰窒素の散布の実施を検討する。
また、移植時は薬剤散布を実施し、移植後は水深を4cm(理想は1cm)以下に維持する浅水管理を実施する。なお、スクミリンゴガイは、農機具・機械に付着した泥とともに他のほ場へ拡散することがある。発生ほ場で使用した後は泥をよく落としてから移動させるよう心がける。
◎野菜・花き
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫とその地域は次の通り。
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
<いちご>
・アザミウマ類の発生が、中国、四国及び南九州の一部の地域で多くなると予想。同虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施する。
なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定を。また、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討する。
・アブラムシ類の発生が、北関東、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想。同虫は、気温が高いと増加する傾向があるため、気温が高くなると予想される地域で同虫の発生を認めた場合は注意が必要。同虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施する。
なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。また、農薬散布のみならず、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
・灰色かび病の発生が、南関東及び中国の一部の地域で多くなると予想。同病は、気温20度前後の多湿条件で発病が助長されることから、換気等により施設内の湿度調節に努める。また、同病は一部の薬剤に対する耐性菌の発生が確認されている。伝染源となるり病部は早期に除去するとともに、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に効果の高い薬剤を選定する。散布むらがないよう的確に散布すること。
<きゅうり>
・コナジラミ類の発生が、北関東及び四国の一部の地域で多くなると予想。同虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルスを媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施する。
なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。また、農薬散布のみならず、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
<トマト>
・コナジラミ類の発生が、関東、東海、四国及び九州の一部の地域で多くなると予想。同虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施する。なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。また、農薬散布のみならず、天敵
による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
◎果樹・茶
果樹・茶で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫とその地域は次の通り。
果樹・茶で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
<果樹・茶共通>
・果樹・茶では、病害虫防除を効率的かつ効果的に実施するため、春期の病害虫の発生を抑制することが重要。感染落葉やり病部を除去し園外に持ち出すなど、適切に処理すること。また、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、薬剤防除を的確に実施する。
・カンザワハダニの発生が、近畿及び北九州の一部の地域で多くなると予想され、福岡県から注意報が発表されている。すそ部の葉裏をよく観察し、休眠から覚醒した暗赤色の雌が増え出したら、適切な防除を実施する。薬剤防除の際には、薬剤抵抗性の発達回避のため
同一系統薬剤の連用を避けるほか、薬液が葉裏に十分に届くよう丁寧に散布するなど心掛けること。
◎サツマイモ基腐病の防除対策
同病は感染したいもや苗がほ場内に持ち込まれることにより発生のまん延の可能性が高まるため、次期作には、健全種いもの確保、苗床の消毒等を実施することにより、健全な種苗を育成する。また、同病のまん延防止には、り病株の早期発見が重要であることから、都道府県が発表する発生情報等を参考に、ほ場観察を行うこと。疑わしい症状を見つけた場合は、都道府県病害虫防除所等まで御連絡を。
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