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営農型太陽光発電における複数の作物、品種、栽培方法を検証 千葉大学2026年2月5日

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千葉大学大学院園芸学研究科博士後期課程2年の丸山紀子氏、博士前期課程2年の野澤美月氏(研究当時)、同大大学院園芸学研究院の深野祐也准教授、同大大学院社会科学研究院の倉阪秀史教授、千葉エコ・エネルギー、帯広畜産大学環境農学研究部門の秋本正博准教授らによる研究グループは、農地の上で発電を行う営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)が、水稲と大豆、サツマイモの生産に与える影響を調査した。その結果、パネルの下での収量は作物の種類・品種・遮光率によって大きく変動する(5~40%低下)こと、パネル下でも収量が低下しにくい品種があることがわかった。

図1:営農型太陽光発電下での水稲の生産図1:営農型太陽光発電下での水稲の生産

農業と再生可能エネルギーの生産はどちらも広い土地を必要とするため、土地利用を巡る軋轢が生じている。そこで注目されているのが、農地の上に太陽光パネルを設置して発電し、その下で農業を行う営農型太陽光発電(図1)。土地利用効率が高く、農家の収益向上につながるとして近年アメリカやヨーロッパなどで注目されている。

農林水産省によると、2022年度までに日本で累計約5351件の営農型太陽光設備の農地の一時転用許可が出ており、設備の下部農地面積は約1209haに達している。

これは農地の有効活用と再エネ導入の広がりを示すものだが、広く展開する上で課題となるのは「どの作物・どの品種を、どのように栽培すれば、パネルの下でも収量が維持できるのか」という点。特に、日本の農地の大部分を占めるコメ・ダイズ・イモ類などを対象にした研究は少なく、また作物の種類や品種、栽培方法による違いを比較する研究はなかった。

そこで研究グループは、千葉県の複数の農業法人の協力のもと、2024年に水稲(もち米)や大豆、サツマイモを対象に太陽光パネル下とパネル外での生育の違いを調べ、気象データも測定。さらに、2023年と2024年に有機栽培サツマイモを対象に、品種、除草のタイミング、有機肥料の有無を変えて調査を行った。

図2:水稲、大豆、サツマイモの収量をパネル外と下で比較。nsはパネル内外で統計的な有意差が無いことを、* は1%水準で有意であることを示す図2:水稲、大豆、サツマイモの収量をパネル外と下で比較。nsはパネル内外で統計的な有意差が無いことを、* は1%水準で有意であることを示す

調査の結果、作物によって収量の減少の程度が異なることが分かった(図2)。水稲では、太陽光パネルが面積の27%を覆う水田で収量が5%の減少にとどまった(統計上有意な差はなし)。パネルの下の水稲の生育を詳しく調べると、「一株当たりの穂の数」は減るものの、意外にも生育後期に形成される「一穂あたりの籾の数」と「玄米の重量」は増えていた。

これは、生育後期の夏の環境が水稲にとって良かったことを示唆。実際にパネル下の気象データを分析すると、日中の最高水温は平均でおよそ2℃下がっていた。大豆の収量は、パネルが33%を覆う畑で31%減少。サツマイモの収量はパネルが31%を覆う畑で40%減少し、パネルが49%を覆う畑ではさらに大きく減少した。しかし、調査した農地は地域平均より生育が良好だったため、3割程度の遮光では農地転用許可の「地域の平均的な収量と比較しておおむね2割減収しない」という要件を満たしていた。

図3:有機栽培のサツマイモの収量をパネル外と下で品種ごとに比較。nsはパネル内外で有意差が無いことを、* は5%水準で有意であることを示す図3:有機栽培のサツマイモの収量をパネル外と下で品種ごとに比較。nsはパネル内外で有意差が無いことを、* は5%水準で有意であることを示す

パネルが約40%を覆う畑で栽培した有機栽培のサツマイモでは、遮光の影響は品種によって異なることが分かった(図3)。例えば、「安納いも」は大きく減収した一方、「あまはづき」はパネルの下でも収量を維持できた。このことは、適切な品種を選べば発電と食料生産を高いレベルで両立可能であることを示唆している。一方、除草のタイミング、有機肥料の有無は、パネル下のサツマイモ収量に影響しなかった。

同研究によって、「どの作物・どの品種を、どのように栽培すれば、パネルの下でも収量が維持できるのか」という具体案の一端が明らかになった。ただし、作物収量は地域や年度によって大きく変動するため、営農型太陽光発電に適した栽培体系を確立するには、より多地域・長期で検証を続ける必要がある。

今後は、調査対象の作物や品種、栽培方法をさらに検討することで、営農型太陽光発電の農業生産性の向上に寄与していく。

同研究成果は2月2日、『npj Sustainable Agriculture』にオンライン公開された。

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