水稲特集 いもち病が北海道、東海、近畿などで多発のおそれ 病害虫発生予報第5号 農水省2023年7月27日
農林水産省は7月26日、令和5年度病害虫発生予報第5号(水稲特集)を発表した。向こう1か月の主要な病害虫の水稲における発生予報は、いもち病の発生が、北海道、南東北、東海、近畿、中国及び四国の一部の地域で多発。斑点米カメムシ類は、東北、南関東、北陸及び四国の一部の地域で、また、縞葉枯病(ヒメトビウンカ)が、関東、東海及び四国の一部の地域で多発のおそれがあると予想されている。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
水稲で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫とその地域

◎いもち病
北海道、南東北、東海、近畿、中国および四国の一部の地域で多くなると予想。北海道、山形県、三重県、滋賀県、京都府および山口県から注意報が発表されている。今後、断続的な降雨がある場合には同病が急激に発生するおそれがある。また、葉いもちの発生が多く、上位葉に葉いもちの病斑が見られる場合は、葉いもちから穂いもちへの移行が懸念される。
都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、同病の発生状況に応じて穂いもちに進展しないように防除を実施を。なお、一部の薬剤に対して耐性菌が発生しているため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に効果的な薬剤による防除を実施する。
◎斑点米カメムシ類
北東北、南関東、北陸および四国の一部の地域で多くなると予想。青森県及び高知県から注意報が発表されている。同虫は、水田周辺の雑草に生息し、出穂期になると水田に侵入し穂を加害する。被害の程度は、出穂期、水田への本虫の侵入量、カメムシの発生種の構成等によって異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、適期に防除を実施を。
また、水田周辺雑草の除草は同虫の発生量の抑制に効果的だが、出穂期直前の除草は、同虫の水田への侵入を助長し被害を増加させるおそれがあるため、出穂期の10日前までに完了する。
◎縞葉枯病(ヒメトビウンカ)
関東、東海および四国の一部の地域で多くなると予想。同病は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、経卵伝染により次世代もウイルス媒介が継続するため、当該虫を対象とした防除を実施することが重要。なお、当該虫の防除を実施する場合は、薬剤抵抗性の発達を助長しないよう、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統の薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。
◎ツマグロヨコバイ
四国の一部の地域で多くなると予想。同虫は、多発すると吸汁による生育不良を引き起こし、出穂期以降では茎葉や穂にすす病を引き起こし、イネ萎縮病などのウイルス病を媒介する。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、同虫の本田での発生状況を把握するとともに、適期に防除を実施する。
◎ニカメイガ
北東北、北関東、北陸及び中国の一部の地域で多くなると予想。同虫は局所的に多発する場合があるため、本田の観察を行い、発生状況に応じて適期に防除を実施する。
◎紋枯病
北東北及び東海の一部の地域で多くなると予想。同病は高温多湿条件で発生が助長される。また、上位葉が発病すると減収に繋がるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、上位葉に進展しないよう同病の発生状況に応じた防除を実施する。
◎トビイロウンカ
一部の地域で飛来が確認されている。同虫の薬剤防除にあたっては、若齢幼虫期が防除適期となるが、地域により成虫の飛来時期が異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、地域の発生状況を把握しながら、タイミングをとらえた適切な防除を実施する。
◎スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)
一部の地域で発生している。この貝は、田植え直後の葉や茎が柔らかい時期に水稲を加害。来年の発生を抑えるため、収穫後の防除として、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、石灰窒素の散布や冬期の耕うん等による殺貝を実施する。なお、耕うん機などの農機具に付着した泥とともに、スクミリンゴガイが他のほ場へ拡散する事例が報告されている。農機具の泥はよく落としてから移動させるよう、心がけること。
スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害防止対策については、農水省ホームページから参照できる。
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