畜酪対策 生産者補給金 再生産可能な単価を 和子牛で緊急対策要請 JAグループ2024年12月13日
JAグループは2025年度畜産・酪農対策に関するJAグループの政策提案を決め、12月12日に江藤農相に要請するとともに13日には自民党の畜産・酪農対策委員会で政策提案を行った。
12月13日に開かれた自民党畜産・酪農対策委員会
畜産・酪農経営は、飼料をはじめとする生産資材価格の高止まりに直面し、一方では和牛枝肉価格の低迷と肉用子牛価格の下落、生乳需要の低迷などが重なり「生産現場は全国的に営農継続が危ぶまれるほどの甚大な影響を受けている」とJAグループは危機感を強めている。
酪農経営は高齢化や生産費の高騰で減少を続け、2019年には1万3000戸だった生乳指定団体の受託農家戸数は、今年10月に1万戸を割り込むまで減少した。
JA全中の樽井功酪農委員長(JA北海道中央会会長)は畜産・酪農対策委員会で「このまま生産基盤の弱体化が続けば消費者に国産牛乳、乳製品の安定供給ができなくなる。地域の農業と社会に大きな影響を及ぼす」と話し、加工原料乳生産者補給金については「酪農経営の再生産、将来に向けた投資が可能となるよう適切な単価、数量の設定をお願いする」と要請した。
また、集送乳調整金は大幅に上昇している輸送コストの実態を十分に踏まえた「単価の引き上げを」と求めた。そのほかクラスター事業は生乳需給の状況を考慮しつつ、地域の生産基盤を維持する酪農経営体の施設、資材への支援の再開を要請した。
生乳の需給調整機能の強化も課題だ。樽井委員長は「バターと脱脂粉乳の跛行性が課題となるなか、生乳の廃棄がでないよう需給調整の取り組みは不可欠だが、現在は一部の生産者がそのコストを負担している。すべての生産者と乳業で公平に取り組むよう国が指導しセーフティネットを構築するとともに、その後押しを」と話し、全国の生産者、乳業者、国が一体となった生乳需給調整セーフティネットの措置を求めた。
谷口俊二畜産委員長(JA三重中央会会長)は「繁殖経営では急速に離農が進み、わが国が誇る和牛生産が危機的な状況にある」と危機感を表明し、和牛肉の需要拡大と優良子牛生産に向けた緊急対策の継続、農林漁業セーフティネット資金の特例の継続などを要請した。
また、鳥インフルエンザをはじめ、最近でランピースキン病の発症が確認されるなど、家畜疾病に「JAグループは最大の危機感を持って対応してきた」(谷口委員長)と話し、水際対策と飼養衛生管理の徹底など発生防止とまん延防止をこれまでに以上に強化することを求めた。
その他、肉用子牛生産者補給金制度の保証基準価格は「肉用子牛の再生産が確実に確保できる水準」での設定や、牛・豚マルキンの発動に備えた十分な予算確保も要請した。
その他、JAグループのおもな要請事項は以下の通り。
▽適正な価格形成の法制化では畜産物の持続的な供給に必要なコストが考慮される仕組みとすること。
▽稲WCSや飼料用米、青刈り・子実用とうもろこしなど国産飼料について耕種経営で継続的な生産が図られるよう支援を拡充すること。
▽物流2024年問題に対応しサプライチェーン全体の物流効率化の促進に向けた支援の抜本的な拡充。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日