全国一体で生乳需給調整セーフティネットを JAグループ2024年12月16日
JAグループは2025年度酪農対策に関する政策提案のなかで、生乳需給調整機能の強化に向け、全国の生産者・乳業者・国が一体となった生乳需給調整セーフティネットを措置することを求めている。
2018年の畜産経営安定法の改正によって、加工原料乳生産者補給金の交付対象を指定団体以外の酪農家にも対象とするなどの措置で「需給緩和時の需給調整が難しくなっている」、「酪農家間で不公平感が生じている」などの現場の意見がある。
現場からは需給緩和時は、乳業が引受・販売が可能な量に限界がある一方、酪農家から「前年に系統外に出荷していた分を来年は指定団体に出荷したい」と機首に申し出があった場合など、あまねく集乳する義務が課されている指定団体は断ることができない。こうしたいいとこ取りをする生産者には不満が募り、「指定団体出荷者だけが需給調整や対策を負担しており不公平だ」との声が出ている。
農水省は12月13日に自民党の畜産酪農対策委員会にこうした資料を示し、現場の声を踏まえ組合員の平等という原則の下で制度上何がどこまでできるかを公正取引委員会とも検討してきたことを説明した。
その結果、改正畜安法での新たな規律の強化に向けて一部省令改正を実施した。
畜安法上、指定団体は「正当な理由」がある場合を除き、生産者からの取引の申出を拒否することはできない。また、需給緩和時に規模拡大や出荷先の変更等に翌年度の取引数量が増加すると、指定団体は販売先を探すことが困難になるという課題もある。
そのため今年4月、翌年度の出荷予定数量に大きな変更がある場合は、申出の期限を設定することができるように省令改正を実施した。農水省は指定団体の取引が年間安定した取引となるように生産現場の声を踏まえ、さらなる規律強化を検討していく。
また、系統も系統外事業者も需給調整の取り組みが相互に不透明となっているとして、「需給の見通しが立てにくくなっている」との声があることから、系統・系統外の生乳流通事業者が参加して情報交換する場を設け、11月までの1年間で8回開催した。その場では飲用向けの投げ売りを防止するため乳製品への加工が重要なことなどが議論された。
農水省は今後も継続的に開催し議論を積み重ねるとしている。話し合いのなかで需給調整には全国的な対策へ関係者が参加することは避けて通れない取り組みだとしている。
こうした経過を踏まえてJAグループは、系統・系統外の議論も通じ、全国的な生乳需給調整に参画する仕組みの構築と畜安法運用上のさらなる規律強化を求めている。
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