農地の大区画化、水田政策の見直し 基本計画で具体化 農水省2024年12月19日
農林水産省は12月18日の食農審企画部会のこれまでの議論を踏まえた基本計画の「検討の視点」を示した。来年の企画部会には基本計画の骨子を示し、計画作成へ議論が本格化する。
12月18日の食農審企画部会
改正基本法で食料の安定供給については、国内農業生産の増大を図ることを基本とし、安定的な輸入と備蓄を組み合わせることが必要とされている。
このうち国内の農業生産による食料供給の能力を確保するには「農地」と「人」、「生産性の向上(収量増)」が必要となる。
基本計画では主要な品目ごとに供給能力の確保のために必要な施策を盛り込む。
米・麦・大豆など土地利用型農業について、農水省は11月6日の企画部会で2030年には経営体数が半減し27万経営体となるとの試算を示した。そのうえで施策の方向は「地域計画」を活用して、規模拡大する経営体に農地を集約し、同時に生産性を向上させるため農地の大区画化を進める。地域の通信環境を整備し、サービス事業体などによるスマート農業の本格化、新品種の導入による単収向上も課題となる。
米では2027年度以降の水田政策の見直しを検討する。また、中食・外食を含めた実需者ニーズを反映するための事前契約の取り組みなどを進めることも盛り込む。
麦は多収品種、耐病性品種の開発とともに、農地の集約化とブロックローテションの導入、畑地化などによる生産性向上を図る。
大豆は大規模化に向けた受託組織の育成、大区画化や汎用化など土地改良事業、スマート技術の導入を図る。
飼料自給率の向上に向けて耕種農家と連携した飼料生産を含めた地域計画の策定を促進するとともに、青刈りトウモロコシ、牧草、など栄養価と省力化の観点も含め需要に応じた品質、数量の生産と持続的な流通体制づくりにも取り組む。
露地野菜は、加工・業務用野菜の需要に応えるとともに、基盤整備を活用して集約化した産地を育成する。施設園芸は大規模施設を増やし、それを可能とする法人の経営基盤の強化を図る。
また、複数産地と加工・流通、実需などが一体となったサプライチェーンの強靭化による安定供給体制の構築も図る。
果樹について農水省は2030年にはすべての経営体で減少、または横ばいと試算しており、経営面積は5割弱の減少と見込む。生産力を維持するため農地の集積・集約化と省力樹形の導入、新規就農者を増やすためのトレーニングファームなどの取り組みも進める。
畜産物のうち生乳については飲用乳と脱脂粉乳の消費拡大と国産ソフトチーズなど高単価チーズ市場の拡大などを図る。生産面では長命連産性を重視してコスト低下を図り、データを活用して経営改善にも取り組む。
生産資材の供給では、たい肥や下水汚泥など国内資源の利用拡大、局所施肥など施肥の効率化、土壌診断を引き続き進める。農薬では最新の科学的知見に基づく再評価を円滑に実施し、農薬登録の国際調和を推進する。また、現場の防除ニーズに対応するため新規農薬が速やかに上市される取り組みも進める。
これら品目ごとの施策とともに、委員から繰り返し指摘された農業構造の転換を打ち出す。核となるのは「地域計画」でそのなかですべての品目の団地化を進める。地域計画は2万2000地区で来年3月までに策定することになっているが、委員からは国の関与を求める意見が相次いだ。
それをふまえて国のリーダーシップのもとで策定された地域計画を分析し、国と自治体間の連携などによって地域計画をさらに進化させることも基本計画に盛り込む。とくに農地を「誰に集約化していくか」に加えて「どの品目の産地にしていくのか」という「地域計画を核とした産地づくり」をめざす。
その他、輸出の促進、国民一人一人の食料安全保障・持続可能な食料システム、環境と調和のとれた食料システムの確立・多面的機能の発揮、農村の振興、国民理解の醸成などについて記述される。
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