水田大区画化で労働費6割削減めざす 土地改良長期計画2025年8月7日
農水省は8月6日に開いた食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会に新たな土地改良長期計画案を示した。改正基本法に基づく初動5年間で農業の構造転換を集中的に進めるため、2025年度から2029年度までを計画期間とする。
大区画化で10а当たり21.6時間→9.4時間
新たな土地改良長期計画では4つの政策課題を掲げる。
政策課題1は「生産性向上等に向けた生産基盤の強化」。平坦地では1ha以上の区画を基本とする大区画化を進める。これによって労働時間の削減を実現する。
農水省によると1ha~2ha区画の10a当たりの稲作労働時間は9.4時間で全国平均の21.6時間を大きく下回る。これをもとに政策目標として大区画化など基盤整備を実施した地区での担い手の労働費を6割削減することを目標とする。
また、基盤整備に着手した地区のすべてでスマート農業の実装を可能とすることを目標とする。
国内の需要を踏まえた麦、大豆、園芸作物の生産の拡大のため、水田の汎用化、畑地化なども進める。
目標として基盤整備を実施した後、麦・大豆の生産量が3割以上増加している地域の割合を8割以上を掲げる。同様に園芸作物については生産額が2割以上増加している地区の割合を8割以上とすることを目標とする。
事業量は水田の基盤整備が約9万ha、このうち水田の大区画化(1ha以上)は約6万haとする。そのほか水田の汎用化は約6万ha、畑の区画整理・排水改良は約3.6万ha、畑地かんがいは約2.4万haとしている。
中山間地域は省力設備導入
一方、大区画化が困難な中山間地域では管理作業の省力化に資する設備などを導入する。具体的には自動給水栓の設置や、水路のパイプライン化、また、緩傾斜化による草刈り作業の効率化なども行う。
政策課題2は「農業用水の安定供給及び良好な排水条件の確保」。農業水利施設の機能が保全され、農業用水が安定的に供給されている農地面積の割合を10割とするなどの目標を掲げる。
政策課題3は「増大する災害リスクに対応するための農業・農村の強靭化」。防災重点農業用ため池での防災工事着手割合を9割以上とする目標を掲げる。
政策課題4は「農村の価値や魅力の創出」。農業生産基盤と生産・販売施設整備によって収益力向上に取り組む地区を約80地区とする。総合的な整備を通じて所得向上をめざす。
そのほか情報通信環境の整備に取り組む地区を約100地区、更新に着手する農業集落排水施設を約500地区とする。
新たな土地改良長期計画案について農水省は今後、パブリックコメントを募るほか、都道府県知事、関係行政機関長の意見を聴取し、8月中に食農審農業農村振興整備部会で最終案を答申する。その後、9月には閣議決定する予定となっている。
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