茨城の農協・生協ら 原発再稼働反対で集会 「東海第2の事故で住民避難はできない」2025年8月27日
茨城県内の農協や生協も、東海第二原発の再稼働に反対。今月(8月)23日に茨城県東海村で「STOP!東海第二原発の再稼働いばらき大集会」が開かれ、会場の東海文化センターには県内外から約500人が集まった。
東海村で開かれた原発再稼働の反対集会
この集会は、地元の常陸農協や隣接する水戸農協、県畜産農協連合会、県生協連合会、日本有機農業研究会をはじめ、つくば市やかすみがうら市、美浦村などの現職首長も賛同人に名を連ねた。
同県では2012年の県農協大会で東海第二原発の再稼働に反対する決議を行っており、常陸農協や水戸農協でも再稼働に反対の表明をしている。
東海村は、日本の原子力発祥の地。現在も、日本原電の原子炉や日本原子力研究開発機構(旧原研、動燃)など10以上の施設が、住宅地に隣接して立地している。周辺には広大な農地があり、日立製作所などの工場群も林立。首都圏から約100kmの位置にある。
東海第二原発の30km圏内には92万人が住んでいる。東京電力福島第一原発のような事故が発生したら営農は継続できず、数百兆円規模の損害が発生し、「首都圏壊滅」と言われている。2021年3月には水戸地方裁判所で、実効性のある避難計画が策定されていないとして再稼働を認めない判決が下され、現在、東京高裁で審理が行われている。
集会の最初に、主催者代表の小川仙月さんは「東海第二原発の原子炉建屋が建つ地層は強固な岩盤まで370メートルあり、軟弱な地盤の上に建っている。防潮堤もその上に建てられているので危険だ。国も原子力規制委員会も周辺の人やモノを見ていないし、安全も考えていない。村長も村民のほうを見ていない。日本原電では原発未経験者が半分を占め、動かすのは問題。再稼働せず、廃炉にすべき」だと訴えた。
工事現場で相次ぐ火災
農協、生協の賛同人を代表して、県生協連合会の鶴長義二会長は「原発の運転に100%安全はない。人間はミスを犯す。もし事故が起きたら、人間はコントロールできないし、周辺92万人は避難できない」と話した。
東海第二原発地域科学者・技術者の会代表の宮武宇也さんは「東海第二原発で最近12件の火災が続けて起きている。この2月には心臓部と言える中央制御室で火災が起きた。いずれの火災も、あまりにも稚拙で、経験と技術力の低下、劣化を示している」と懸念を示した。
かすみがうら市長の宮島謙さんは「政治家の責任には、与えられた仕事をこなす責任という任務責任と、問題を起こした時の結果責任とがある。東海第二原発が事故を起こしたら誰が責任を取るのか、取れるのか。福島の事故でわかるように、事業者も規制委員会も国も責任を取らない。本来は政治家が取るべきなので、国民が政治家を代えるしか手はない」と、選挙の重要性を述べた。
このあと、村上達也前東海村長、海野徹前那珂市長らが、JCO事故や福島第一原発事故当時の対応などを話した。
賛同人からの訴えのあと、東海第二原発運転差止訴訟弁護団の大河陽子弁護士が「東海第二原発 住民避難はできない」というテーマで講演した。
大河弁護士は、最初に水戸地裁判決を引き、原発の性質として「事故被害が甚大。事故収束が困難。事故の原因となる自然災害等の予測を確実には行えない」と述べた。続いて「東海第二原発の周辺30km圏内には92万人が住んでいる。水戸市やひたちなか市などでは避難計画が策定されていない。県の広域避難計画では、大規模地震が発生した場合、住宅が損壊し、道路が寸断されることを想定すべきだが、具体的に触れられていない」として、昨年の能登半島地震での道路寸断、孤立集落の発生を例として挙げた。
さらに、日立市と東海村の避難計画を取り上げ、道路や橋が大渋滞を起こし、避難行動要支援者が避難できずに取り残される、避難所が確保されていない、複合災害を考慮していないなどの問題点を指摘し、「東海第二原発で事故が起きたら住民避難はできない」と結論づけた。
集会では、最後に「東海第二の再稼働工事は火災やトラブルが頻発している。運転開始から46年も経っている老朽原発。防潮堤の欠陥工事も見通しが立っていない。日本原電には原発を動かす能力も資格もない。福島の事故では今も3万人近くが避難生活を続けている。原発は人類と共存できない。子どもたちに負担を強いる原発ではなく、自然と共生できる再生可能エネルギーの活用が未来への希望」という集会決議を採択した。
参加者はこのあと、会場から東海駅までデモ行進を行った。
(客員編集委員 先﨑千尋)
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