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農政:欧米の農政転換と農民運動

【欧米の農政転換と農民運動】イギリスでも農民が決起 期待外れのEU離脱後の農政転換(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年3月13日

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欧州で農政の不信感から農民のトラクターデモなどが目立っているが英国も例外ではない。EU離脱後の農政改革方向への不満があるようだ。駒澤大学名誉教授の溝手芳計(よしかず)氏に解説してもらった。

【欧米の農政転換と農民運動】イギリスでも農民が決起 期待外れのEU離脱後の農政転換(1)から

期待外れのEU離脱後の農政転換

駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏

だが、イギリスの状況は大陸と同じではない。2020年には、EUの共通農業政策に代えて、ブレグジット後の農政の基本を定める農業法が制定された。そこでは、旧来の面積割り直接支払いを段階的に縮小・廃止し、環境保護や動物福祉、文化・自然遺産の保全といった公共の利益への貢献度に応じて対価を支払う制度=イングランドの「環境型支払い制度」(ELMS)、ウェールズのSBSなど=に切り替えること、農家と農産物購入者の契約公平化を促すために大臣が規則を定められるようにすること、WTO農業協定を遵守しつつ農産物貿易交渉に当たることなどが定められている。これらの変更は、イギリス農政史上40年ぶりの大改革と言われ、農業関係者だけでなく、各方面から大きな注目を集めている。

しかし、これは、原則を規定するにとどまり、2021~27年の移行期間中に時間をかけて具体化されることになっている。各種施策の担当機関は、イギリス全体(連合王国)を束ねる中央政府の中でもさまざまな部局に分かれるし、ウェールズやスコットランド、北アイルランドの各自治政府の手に委ねられる分野も少なくない。そうしたなかで、イギリスでは、今次の抗議活動の勃発以前から、農業・食料に関わる施策要求運動や農政批判活動が展開していた。

ブレグジットにともなう東欧からの移民労働力減少に対して、農業・食品産業を優遇する移民規制の緩和措置を求める主流派農業団体(「全国農業者組合」NFU)の運動、同じくNFUが主唱し、他の農業・食料・環境団体がこぞって支持し百万人の署名を集めた「イギリスの高品質農産物を輸入から守れ」請願運動(2020年)、新興農民団体「農業勤労者同盟」(LWA)等が推進した「食料品サプライチェーンにおける公正取引規範」採択請願運動(2023~24年)などである。公正取引規範請願では、大型スーパーマーケットチェーンの配送センター30箇所前後をトラクターで包囲するという実力行使も行なわれ(23年10月)、10万件以上の署名を結集し、議会での採択を勝ち取っている(24年1月)。

独自路線を示す中小農民が結集する「農業勤労者同盟」

イギリス農民運動の今一つの動向として、農民団体間の路線の違いが表面化しつつあることが上げられる。

NFUとLWAは、互いの進める運動に対して、今のところ是々非々で対応しエールを交歓することも少なくない。しかし、NFUは、新しい農業政策の重点を食料自給確保に移し、農産物の生産や面積に応じた直接支払いを存続させる方向を志向し始めている。ウェールズでのSBS反対デモをNFUウェールズが組織しようとしているのもその一環である。NFUはまた、首相や主要政党トップと個別会談を進めたり、国政選挙の政策マニフェストに自らの要求項目を掲げるよう要求するなど、政治的影響力の行使に走る傾向を示している。

これに対して、中小農民が結集する新興の「農業勤労者同盟」(LWA)は、新農業法の掲げる個別の政策目標を一つひとつ実質化させてゆき、全体として国民に理解される望ましい農業システムに近づけようとしているようである。ELMSについてはむしろ推進の立場を取り、新しい助成制度を利用して農家や新規参入者が環境型農業を実行しやすくする研修活動にも取り組んでいる。また、有機農業団体(「土つくり協会」)や環境団体、食生活改善運動団体などと連携しつつ、幅広い視点から国民的合意形成を進めようとしている。

こうした違いの背景には、温暖化問題を始めとする環境問題の深刻化と並んで、イギリス農業構造の変動があり、また、イギリス農政改革には、一般経済界、食品産業界の利害、そして何より国民生活の将来も大きく関わっている。これらについては、別途、紹介する機会を待ちたい。

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