農政:動き始めたバイオスティミュラント
【動き始めたバイオスティミュラント】正しい情報、ラボ・ほ場両方の効果の検証が不可欠 Eco-LABに聞く(2)2025年6月11日
バイオスティミュラント(BS)に対する注目は世界的に高まっている。しかし、日本ではその定義や表記、効果の検証、正しい使用方法などの理解や普及が遅れていた。農水省は「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン」(GL)を5月30日に公表したが、今年4月に一足早く自主規格を策定したのがEco-LAB(エコラボ。正式名称:バイオスティミュラント活用による脱炭素地域づくり協議会)だ。
成分・原料から効果を判断できない
BSの効果は定量的に測定できます。従来の効果測定は外観だけを見ていましたが、植物が受けるストレスは様々で、それに合わせてBSを使い分ける必要があるため、植物体内で起きる作用を見ていく必要があります。根張りや地上部成長など、外観を目視で観察できるようになる前の段階で、植物体内でどのような反応がおきているのかを確認することが重要であり、これらもGLには記述されています。
正しい選び方、使い方で十分な効果を得られる
ー具体的には。
栄養対策BSでは、散布した資材が植物に接触し、刺激を与えることで受容体が信号を発します。信号は化学反応であり、栄養吸収を促進する遺伝子の働きを活性化させます。そのため、正しい信号が伝達されたかどうかは、遺伝子検査で調査できます。
カリウム吸収に特化したBSであれば、カリウムの吸収を高めるため、土壌に過剰に存在するカリウムを運ぶカリウムトランスポーターの遺伝子の増減を計測することで、定量的な根拠データを得られます。
高温対策BSでは通常、タンパク質が熱ストレスで構造崩壊、補修を繰り返して、枯れたり品質が低下します。例えば、気温が50度でもしっかり育つか、枯れずに成長できるかは実証できます。特に、高温障害の環境ストレスは温度、乾燥、湿度で、それぞれの効果は異なります。乾燥耐性のBSが、熱ストレスには効果がないことも多い。障害の種類に応じて正しい選び方、使い方を行うことで、十分な効果が得られるのです。
植物体内の反応を確認する方法
ー解析の留意点は。
解析はラボとほ場の両方で確認することが重要です。ラボで再現性を確認した上で、実際のほ場でも効果を検証する。用途や使用方法を守ることも重要で、自主規格にはラボとほ場の両方で効果を確認することが組み込まれています。
Eco-LABは各地のJA様と連携し、産地での効果の再現性をデータで確認するため、実際のほ場を使って自主規格にもとづく資材の検証も行っています。何に効果があるか、どのような刺激か、明確にすることが重要です。産地側は、特に安全性の確認を求めており、GAP(農産物の安全基準)に基づいた検証も重視しています。
重要な記事
最新の記事
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
【稲作農家の声】被災農家も「米が作りたい」 国は本気の支援を 宮岸美則・石川県農民連会長2025年6月12日
-
備蓄米の認知率98.7%、一方で「味に不満」6割超、主食の転換の兆しも ノウンズ調べ2025年6月12日
-
備蓄米競争入札分 実需者・小売に7万t 売渡数量の23%2025年6月12日
-
36都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月12日
-
集落営農 法人組織41.9% 前年から1.8%増2025年6月12日
-
【'25新組合長に聞く】JA甘楽富岡(群馬) 今井善圓氏(5/27就任) 組合員・地域とのふれあいから農協の意義再認識2025年6月12日
-
米卸は全国に1822社 1億円未満が30.5%の555社「米卸業者の動向調査」帝国データバンク2025年6月12日
-
【JA人事】JAくしろ丹頂(北海道) 千葉喜好組合長を再任2025年6月12日
-
食卓と農の現場の距離を縮める取組と今後の展望「令和6年度 食育白書」農水省2025年6月12日
-
「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」入会受付開始 農水省2025年6月12日
-
焼酎とイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第344回2025年6月12日
-
全農杯全日本卓球選手権大会大分県予選会 JA全農おおいたが県産農産物提供2025年6月12日
-
三重県JA-MC運営協議会が第36回定期総会 農機作業の業務改善、階層別研修でサービス向上へ2025年6月12日
-
「田んぼの生きもの調査」で田植えを体験 JA全農福島2025年6月12日
-
JA新潟かがやき産「大玉すいか」でトップセールス JA全農にいがた2025年6月12日
-
「JAタウンアワード」1位はJA全農長野「全農長野僕らはおいしい応援団」2025年6月12日
-
大規模な低酸素環境で殺虫 地球環境に優しい窒素ガス置換殺虫技術を開発 農研機構2025年6月12日
-
安全性検査クリアの農業機械 農用トラクターなど3機種15型式を公表 農研機構2025年6月12日