農政:JAは地域の生命線 国の力は地方にあり 農業新時代は協同の力で
【対談】JA東京むさし × 三鷹市 協働で農のあるまちづくり(下)2016年10月13日
農地は“公的”なもの
市民と価値観を共有
三鷹市長・清原慶子氏
JA東京むさし代表理事会長・須藤正敏氏
――「農のあるまちづくり」で、これから市や農協が取り組むべき課題は何でしょうか。
◆ ◇
清原 市がすべきことは、都市農業を継続できる農地を保全するための「き」で始まる言葉の一つである「基盤」の確保を、国や東京都に農業者の皆様とご一緒に訴えていくことです。税制改正など農地を守る政策を国に働きかけることは、都市農業振興基本計画に魂を入れることだと考えています。次の「き」は、都市農業を守るのだという農業者を含む市民の「気概」です。そして、市や農協など関係団体・組織の「協働」、農業を振興するという同じ目的を持つ人の組織である協同組合の「協同」。この3つの「き」で始まる言葉がキーワードです。
須藤 農業者や農協が宅地並み課税に反対したころと違い、行政からも都民からも、農地が必要だと言われ、都民からも支持されるようになりました。練馬区では3年後の2019年に「世界都市農業サミット」を計画しており、その相談を受けています。ニューヨークに行ったとき、世界の未来都市は東京だと言われたことがあります。世界の大都市で都市に農業があるのは東京だけではないでしょうか。
清原 三鷹市では「サステナブル(持続可能な)都市三鷹」をめざし、庁内で研究を続けています。最重点プロジェクトである「都市再生」と「コミュニティ創生」を進めるために必要なことは、まずは農業が維持されていること、さらに農地以外の地域でも花と緑のまちづくりが継続していくことです。
――都市農業振興基本法を施策に具体化するのが今後の課題ですが、問題は農地をどう保全するかですね。アメリカでは市民が参加して土地利用のゾーニングをおこなっているところもあります。
清原 市内では東京外かく環状道路の建設が進んでいますが、三鷹市は、開発などで失われた農地については、可能な限り代替農地で対応するとともに、ジャンクション部分を蓋掛けして、必ず土と緑を確保するよう国交省と都に働きかけており、そうした対応が図られる予定です。
――それには、農業はコミュニティを支え、緑ある環境を守るという多面的価値があるという認識を広める必要があります。これからの抱負を聞かせて下さい。
須藤 自治体、農協、農業者が、それぞれの持ち場の役目を果たす。それが都市農業振興基本法の趣旨だと思います。大事なのは人づくりです。これに力を入れて農地が残っても農業者がいないということにならないようにしたいものです。
清原 東京都にはほとんど農地のない自治体もありますが、農業という産業の意義、農地の価値に理解を示す都民が増えています。三鷹市長としては、市の農業者の皆様の心の広さ、オープンマインドに感謝しています。市民に開かれた農業の実践、農協と市民及び自治体との協働、これが未来に向けた都市農業の価値を生む基礎ではないでしょうか。
――お忙しいところ、活気みなぎるお話と貴重なご意見、ありがとうございました。
・【対談】JA東京むさし × 三鷹市 協働で農のあるまちづくり (上) (下)
・【現地ルポ】三鷹市(東京都) 21世紀型都市農業を拓く JA青壮年部が先駆者
重要な記事
最新の記事
-
(394)Climate stripes(気候ストライプ)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月26日
-
地域医療の実態 診療報酬に反映を JA全厚連が決議2024年7月26日
-
取扱高 過去最高の930億円 日本文化厚生連決算2024年7月26日
-
【人事異動】JA全厚生連 新理事長に歸山好尚氏(7月25日)2024年7月26日
-
【警報】果樹全般に果樹カメムシ類 県下全域で最大限の警戒を 鳥取県2024年7月26日
-
【注意報】イネに斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2024年7月26日
-
今が旬の「夏酒」日本の酒情報館で提案 日本酒造組合中央会2024年7月26日
-
ヤンマーマルシェ、タキイ種苗と食育企画「とりたて野菜の料理教室」開催 カゴメ2024年7月26日
-
「ごろん丸ごと国産みかんヨーグルト」再登場 全国のローソンで発売 北海道乳業2024年7月26日
-
物価高騰が実質消費を抑制 外食産業市場動向調査6月度2024年7月26日
-
農機具王「サマーセール」開催 8月1日から リンク2024年7月26日
-
能登工場で育った「奇跡のぶなしめじ」商品化 25日から数量限定で受注開始 ミスズライフ2024年7月26日
-
東京・茅場町の屋上菜園で「ハーブの日」を楽しむイベント開催 エスビー食品2024年7月26日
-
鳥インフル 米国オハイオ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年7月26日
-
大玉すいか販売大幅減 小玉「ピノ・ガール」は前年比146.8% 農業総研2024年7月26日
-
千葉県市原市 特産の梨 担い手確保・育成へ 全国から研修生募集2024年7月26日
-
水産・農畜産振興 自治体との共創事例紹介でウェビナー開催 フーディソン2024年7月26日
-
新規除草剤「ラピディシル」アルゼンチンで農薬登録を取得 住友化学2024年7月26日
-
自由研究に「物流・ITおしごと体験」8月は14回開催 パルシステム連合会2024年7月26日
-
高槻市特産「服部越瓜」の漬け込み作業が最盛期2024年7月26日