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特集:JAは地域の生命線 国の力は地方にあり 農業新時代は協同の力で

2016.10.17 
【対談】JAえちご上越 × 上越市 集落間連携で地域づくり(上)一覧へ

所得増へ「米+野菜」
営農組織づくり推進
上越市長・村山秀幸氏
JAえちご上越経営管理委員会会長・青木克明氏

 新潟県上越市はJAと一体となった集落営農とその法人化、集落間連携で、生産の組織化・地域づくりで実績がある。青木克明・JAえちご上越経営管理委員会会長と村上秀幸市長に対談してもらった。司会は小池恒男・滋賀県立大学名誉教授。

 ――上越市は住民の高齢化で弱体化する集落立て直しのため集落間連携組織、地域マネジメント組織を立ち上げています。どのような取り組みですか。

左から青木会長、村山市長、小池名誉教授 村山 上越市では早くから農業生産の組織化と集約化を進めており、市内の約1万7100haの水田のうち1万1150ha、65.2%の農地を担い手に集約化しています。認定農業者の経営体は1180で、うち153が法人です。規模拡大が進み「経営規模10ha以上」の経営体が耕作する面積の全耕地に占める割合は50%近くを占めます。その中で100ha以上の経営体が6法人あります。
 平場では一層のコスト削減、所得アップによる強い経営体づくりを目指していますが、山間地域は高齢化や人口減などで農業や集落機能の維持さえ困難な面があり、中山間地域等直接支払いの第2期対策のとき、清里区の櫛池地区では、地区内の12集落をまとめて「広域集落協定」を締結しました。これを契機に、直接支払いのためだけでなく集落間の交流なども生まれ、櫛池農業振興会ができました。
 これは地域づくりのマネジメント機能を持つ組織で、高齢者の自家消費野菜を庭先から集荷・分別して直売所で販売するなどの活動を行い、農林水産祭むらづくり部門で天皇杯を受賞するなど、さまざまな活動をしています。これをモデルに全市に組織づくりを進め、現在、市内で12のマネジメント組織(農業振興会)があります。農協の協力も得ながら、このように地域と人が頑張っている。これが上越市の自慢です。

 ――農協はどのような支援をしていますか。

◆   ◇

 青木 農家は作ることはプロですが、売るのは素人です。そこで農協と行政が連携して売り先を見つける必要があります。これが軌道に乗りつつあります。農協は農家所得の増大が最大のテーマです。管内は水田単作地帯ですが生産調整や米価の下落で農家収入が減っています。そこで米プラスアルファーとして園芸を取り入れ、農協の第1次中期5か年計画で農産物直売所「あるるん畑」をつくりました。いま取り組んでいるのはその出荷者を増やすことです。重粘土地帯なので野菜栽培は簡単ではありません。まず作り方から始めようと、生産者組織をつくり、農協に園芸畜産課を新設し専任の担当者を配置しました。おかげで販売額は6億円まで伸びました。出荷者は約700人に達し、過剰になった野菜は加工による6次産業化を進めています。
やはり農家にとって、直接お金が入ることは喜びです。売れるものを作るという意識が育ち、生産意欲が高まります。
 問題は野菜の少ない冬場の対策で、水稲の育苗ハウスの利用などのほかに力をいれているのが「雪下野菜」です。雪の中から掘り出したダイコン、ニンジン、ネギなどで、独特の甘みがあります。PRと消費拡大のため、今年立ち上げた地産地消複合販売施設「あるるんの杜(もり)」の農家レストランで料理して食べてもらっています。
 このほか、農家の所得を少しでも増やすため、土壌分析結果に基づく安価な肥料の提供や、資材の直送・自己取りなど、生産コストの削減にも努めています。また米の販売では直売にも力を入れ、30%を目標にしています。そのために精米施設もつくりました。
農協には約1300人の職員がいます。職員は地域と組合員との接点です。全戸集落訪問などで、そのつながりを強めなければなりません。農業生産法人をはじめとする担い手への集約化は6割以上で県内トップですが、それが力を持つと農協との距離が遠くなる恐れがあります。農協に向いてもらうよう努力しなければなりません。それには職員の意識改革・自己改革が必要です。

 ――生産組織の将来をどう見ますか。

◆   ◇

 青木 法人の経営者は65歳以上が大半で後継者のいない法人が多く、5年先には手を挙げざるをえなくなります。合併や地域連携の話が出てくるでしょうが、最後は農協の直営も考えています。ただ農協が経営の全てを受けるとなると、農地が集まりすぎるとともに、条件の悪いところも受けざるを得なくなるでしょう。いま集落営農の法人に統合の動きはありませんが、農地を手放したい農家は増えており、このままでは5年、10年先は見えています。集落連合が理想ですが、それには行政と一体となって、その仕組みを作る必要があります。

 ――そのことで市はどのように考えますか。

 村山 米作中心の農業法人が、米以外に何を作るかとなると園芸しかないでしょう。それを支援するため地元の学校給食への食材提供を進め、生産者には種子や苗代、土壌改良費の補助などを行っています。野菜貯蔵用の雪室の整備にも取り組んでいます。規模の大きい法人は、経営と雇用の安定化のために6次産業化や果樹の導入なども必要になります。
 規模が大きいほど収益性を向上させなければなりませんが、この地方では借地料をはじめ圃場条件から来る機械・労働コストなどが規模拡大のハンディになっています。経営安定にはどのくらいの規模がいいのか。作目の選択と併せて適正規模を示す必要があります。それにはJAの指導が欠かせません。
(写真)左から青木会長、村山市長、小池名誉教授


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