農政:農業協同組合研究会 第14回研究大会
【農協研究会・第3報告 需要に応じた生産へ】石山忠雄・JAえちご上越常務理事2018年5月28日
・農業協同組合研究会第14回研究大会
米の販売について、2年前から農家、JA、行政で「地域農業戦略」について議論してきた。特に平成30年から激しくなると予想される米の産地間競争の中で、販売状況やニーズを的確に捉え、需要に応じた米をつくるとともに、(1)資材費の低減、(2)低コスト技術の普及、(3)多収性品種等の導入によって、勝ち残れる産地をめざし、生産者の所得を拡大する方針である。
需要に応じた米生産では、全農や販売先から的確な需要情報を収集して生産販売計画を策定。これをもとに、生産者へ、用途別に出荷(生産)を依頼する。
また、販売では、(1)播種前の複数年および単年度契約による安定的な取引を進める、(2)多様な米生産へ対応していく。29年産で、業務用として3年の複数年契約をし、約6000tの売り先が決まっている。契約価格はプラス、マイナス5%の幅を持たせ、価格の変動に対応している。
多様な米生産では、市場拡大が進む業務用米に適した銘柄の生産拡大と加工用米、米粉用米の需要量を確保する。また、銘柄誘導奨励金等の誘導策について、JAグループのほか、JA独自の対策も検討する考えである。 実需者から「JAえちご上越に行けば、どんな米もある」と言われるように品揃えによって、JAの独自性を出したい。
一方、生産では、低コスト化のため直播栽培、密苗・省力施肥、ICT(情報通信技術)の導入・定着をはかる。直播は、積雪量が多い管内ではV溝乾田直播が適している。密苗は10aで約1万円のコスト削減ができる。また中山間地ではドローン防除も検討している。
多収性品種では極早生の「つきあかり」を普及する方針で、昨年50haだったものを、今年は600haに増やした。関係機関と連携し、さらに栽培技術の確立に努めている。食味の優れた「みずほの輝き」、飼料用米の「いただき」など、販売先のニーズに対応した品種の実証・導入に努めている。 資材費の低減では、品目集約と予約積み上げによるスケールメリットを出すことを基本に取り組んでいる。県下統一有機肥料の取扱いや、化成肥料の集約を進める。また農薬の大型、超大型規格の取扱いを拡充する。
これからの低コスト化の大きな課題はほ場の基盤整備にある。1区画4haのほ場整備を要請しており、それが実現すればGPS(全地球測定システム)を活用し夜間に無人で代掻きするトラクターの導入なども視野に入れている。
これらの取り組みで米価が60kg8000円でも成り立つ米作経営の実現をめざす。新潟県は輸出米について県単独で助成をしている。それも活用し米の輸出にも力を入れていきたい。
(関連記事)
・【どうする米対策】農業協同組合研究会 第14回研究大会を開催(18.05.25)
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