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農政:自給率38% どうするのか?この国のかたち -食料安全保障と農業協同組合の役割

「5ポリス構想」を実現【今村奈良臣・東京大学名誉教授】2018年8月20日

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 「三本に束ねた矢は折れない」と、毛利元就伝説として古くから言われてきたが、北海道十勝の24JAは、内地都府県のJAのように大合併せず、24本の矢を束ねるように、それぞれの地域の個性に充ちた農畜産業の発展を基盤におきつつ、「JAネットワーク十勝」に結集し、「世界に誇れる農業を!」という目標を掲げて活動している。

JAネットワーク十勝の活動の姿 今村奈良臣・東京大学名誉教授

 「十勝農業ビジョン2021―世界に誇る十勝農業―」を策定した山本勝博・十勝農業協同組合連合会(十勝農協連)代表理事の所信の要点を紹介する。
 「2011年から4年連続で農業産出額を更新し、2015年のJA取扱高(概算値)は3233億円となり、目標を1年前倒しで達成することができました(中略)。十勝の農家はこれまでの歩みを止めることなく、ビジョンに掲げる基本姿勢に基づき、目標達成のための諸課題に取り組むことで、消費者や実需者との絆と信頼を深めつつ、攻めの農政をめざしていきます」(「十勝農業ビジョン2021―世界に誇る十勝農業」)としている。
 このネットワーク十勝のすばらしい活動を、文字で表すよりも絵で分かりやすく表現してみたいと私は考えた。それが別図である。この図をみていただきながら、JAネットワーク十勝の活動の姿をやや立体的に表現してみたい。
 はじめに、図について若干の説明をしておく。この図はギリシャ語源のポリス(Polis)という言葉、つまり「拠点」という表現で、JAネットワーク十勝の活動の姿を「5つの拠点」という形で、5角形で表現した。5つの拠点とは、(1)Agro Polis、つまり農業の拠点、(2)Food Polis、つまり食の拠点、(3)Eco Polis、つまり環境保全と生態系保全の拠点、(4)Medico polis、つまり医療、介護、保育の拠点、(5)Culture  Polis、つまり文化・芸能などの拠点である。
 私の希望する目標は、これら5つの拠点で、それぞれ8点以上をとってほしいーそれが地域農業・農村の活力の源泉であり、農協の果たす役割でもあると、これまで機会あるごとに分かりやすく説くための教材=資料としてこの5角形を活用してきた。ネットワーク十勝についても、この5角形の表現を通して、その活動と、果たしている機能、役割について解明してみたい。

 

 ▼Agro Polis(アグロ・ポリス)
 これはいうまでもなくネットワーク十勝を構成する24のJAで、農業・畜産などの拠点である。24のJAは立地条件、土地条件等は異なり、それぞれ耕種農業に重点を置くJAから酪農、あるいは肉用牛など畜産に重点を置く農業、さらに耕種農業でもバレイショやビートなど根菜類に重点を置くJAから、小麦や豆類に重点を置くJAまで多彩である。
 それぞれの特質を活かしつつ、その基盤に必要な土壌調査や施肥設計など、ネットワーク十勝のいろいろな研究所で技術開発を行い、さらに酪農などについては乳質などを、ネットワーク十勝の研究・検査機関で徹底して検査して、その安全性を担保している。
 さらに多彩な農業の機械化、組織化、法人化の推進、労働力の確保など、たくさんの分野で指導、支援をネットワーク十勝では推進、指導している。

 

 ▼Food Polis(フード・ポリス)
 食の拠点としての指導、活躍もめざましい。かねてより私が主張してきた農業の6次産業化(1×2×3=6)の推進、販売・輸出戦略の推進などには目を見張るものがある。例えば、十勝港の小麦サイロ群のみごとな景観を見るだけでもネットワーク十勝の果たしている機能や役割が分かる。多彩な加工施設のJA間利用、例えばJA中札内村の枝豆の巨大な高能率収穫コンバインのJA間利活用システム、急速冷凍施設の利活用、その多彩な加工、さらに販売に至るまでのシステムなど、ネットワーク十勝がその前提にあり、活かされている。
 もちろん、食の安全性を保証するG―GAP、HACCP等は各JAが取り組むと同時にネットワーク十勝がその望ましい姿を提示、指導し、オール十勝として、この食の安全性に取り組むとともに、世界に向けての食品輸出戦略も推進している。

 

 ▼Eco Polis(エコ・ポリス)
 これは環境保全や生態系等の保全、あるいは望ましい景観の創造ということである。ネットワーク十勝管内では各地で太陽光発電が推進され、さらに畜産地帯では糞尿処理の一環としてのバイオマス発電が多彩に推進され、かなりの電力はこれえらで賄われているという。
 さらに防風・防雪林の整備などと併せて景観の創造、これらを踏まえて農業・食料基地としての十勝を知ってもらうための小・中・高校生、大学生の研修旅行の誘致、グリーンツーリズムの多彩な推進の一翼をネットワーク十勝は担っているということである。

 

 ▼Medico polis(メディコ・ポリス)
 医療、介護、保育の拠点。今回の調査では詳らかにできなかったが、帯広厚生病院という、わが国でも、最もすばらしい第一級の総合病院を移転、建設中であった。ネットワーク十勝がその所有地を提供し、みごとな病院が建設途上(本年11月開業予定)であった。各JAの介護・保育の内容などは、今回の調査で詳らかにできなかったが、構成する各JAで推進しているとの話であった。

 

 ▼Culture Polis(カルチャー・ポリス)
 文化・技能・芸術などの拠点。組合員の家庭の心を癒す多彩な芸能や文化などについては詳らかにできなかったが、各JAではアイヌ文化の継承保存などを含む多彩なお祭りなどがあると伺った。心をいやすこのカルチャー・ポリスはJA陣営では忘れられやすいが、地域農民の心を結びつけ、元気を出すためにも、私は必要だと考えている。

 

むすび

 
JAネットワーク十勝の有塚本部長と話す今村氏(左) 以上、ネットワーク十勝の多彩で、かつすばらしい活動の核心部分をできるだけ分かりやすく説明してきたが、全国各地のJA関係者のみなさん―指導的立場の方々はもちろん、組合員のみなさんも―ここで私が「5ポリス構想」の図で示したネットワーク十勝の活動のすばらしさをよく味わっていただき、各地のJA運動のさらなる展開に活かしていただきたいと希望してやまない。
 ここで示した5ポリス構想の5角形の図に、自らの地域のJAはそれぞれの項目が現状では何点か、自己評価してみて、どの部分で大きく点数をのばさなければならないか、というようなことをネットワーク十勝の活動の姿を思い浮かべつつ、それぞれの立場で考えていただきたいと思う。そこから真のJA改革は始まるのではなかろうか。

(写真)JAネットワーク十勝の有塚本部長と話す今村氏(左)

 

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