農政:自給率38% どうするのか?この国のかたち - 挑戦・地域と暮らしと命を守る農業協同組合
【座談会】思いを馳せた「近代化」幻惑され影を見落とす(上・1)2019年1月8日
・「現代の老農」に聞く農と地域・食といのちの未来
【座談会出席者】
・星寛治氏(農民・詩人)
・山下惣一氏(農民・作家)
・大金義昭氏(文芸アナリスト)
    「老農」とは明治時代の経験に富んだ在来農法による農業指導者のことを言う。現在は栽培技術のマニュアル化が進み「老農」の出番はなくなったかのように見えるが、農業を支える農村社会そのものが崩壊しつつあり、今日的な農業・農村のリーダーが求められる。その意味で、「現代の老農」ともいえる存在で、農民であり作家の山下惣一さんと、同じく詩人の星寛治さん、それに文芸アナリストの大金義昭さんに登場していただく。
長生きすれば病気にも
腹を決めて立ち向かう
大金 昭和・平成の時代を生きた「老農」として後世に名を残すようなお二人に、戦後70余年をふり返り、率直なお話を伺いたいと思います。山下さんがどこかで書いておられた言葉によれば、「老農」とは「経験豊富な人間」と同義語だということですね。その意味ではお二人とも、農業の世界で大変な経験を積んでこられた。ですから、私の勝手でお二人に「老農」という敬称を使わせていただこうと思いました。宜しくお願いいたします。
山下 近況から始めようじゃないですか。若いころの星さんは体が弱かったけれど、今はすこぶるお元気でしぶとい。私は近年、病気ばかりしています。
星 はっはっは。
大金 山下さんも、お元気そうですがね。
 (写真)左から大金義昭氏(文芸アナリスト)、山下惣一氏(農民・作家)、星寛治氏(農民・詩人)
(写真)左から大金義昭氏(文芸アナリスト)、山下惣一氏(農民・作家)、星寛治氏(農民・詩人)
山下 本当に80過ぎたら、やたら病気ばっかりしてる。それで医者に「何でこんなことになるんですか」と聞いたら、「そりゃあ、長生きするからですよ」と言われ、納得しましたね。75で死んでいれば、こんなことは経験せんでいいというわけで、ストンと胸に落ちた。生きているから病気をするわけで、長生きすることは、病気をすることかとね。それじゃあ、病気に立ち向かっていくぞという気になった。ネバーギブアップですよ。
 星 面白いね、その発想は。長生きのせいですか。(笑い)
山下 今は早期発見、早期治療の時代で、昔なら、死んでいますよ。まだステージになる前に今度は大腸ガンを手術するんだけれど、死にたくはないが、死ぬ不安は全然ありませんね。体力で越えられると思っている。なんだか、まだ死なんような気がする。でも、私もまあ、無理はしませんよ。
大金 長寿の秘訣は、年を取ることだそうですから、ぜひ長生きをして、いっそう辛口の話を広げてほしいと思いますよ。(笑い)
 星 いつお迎えが来るかは予測できませんので、私もその時はその時だと思っていますね。「老農」というのは、昔から一種の尊敬の念を込めて使われておった言葉ですから、果たしてわれわれが「老農」なのかどうか。ただ年を取っているだけじゃないのかという自覚もあるんですが、今もって現役の「百姓」として米とリンゴと自給用の雑穀や野菜などを細々とつくりながら、家族農業に勤(いそ)しんでいる毎日です。
 星 いつお迎えが来るかは予測できませんので、私もその時はその時だと思っていますね。「老農」というのは、昔から一種の尊敬の念を込めて使われておった言葉ですから、果たしてわれわれが「老農」なのかどうか。ただ年を取っているだけじゃないのかという自覚もあるんですが、今もって現役の「百姓」として米とリンゴと自給用の雑穀や野菜などを細々とつくりながら、家族農業に勤(いそ)しんでいる毎日です。
(写真)有機農業実践田の星さん(昭和62年)
大金 お元気の秘訣は何ですか。
星 若いころは農作業のほかに、かなりハードな青年運動に関わり、そういう明け暮れから20代前半に十二指腸潰瘍などにかかり、それが一年おきに再発して最後は手術に到り、惨憺たる青春時代でした。手術を受けたのは30代中ごろでしたから、青春はとっくに終わっていたわけですが、周囲も自分もひ弱な人間と見なし沢山のご支援を頂きました。そのように命の瀬戸際まで追い詰められながら、じっと静かに考えるなかで新しい一歩をまた踏み出していくような連続だった。ですから、病そのものも大変ではありますが、歩みを前に転化させていくきっかけになりましたね。幸い手術後、再発は免れ、随分きつい日常にも耐えられるようになりました。
大金 精神的なストレスがあったんですかね。
星 そうですね。まあ、若さに任せて不摂生な生き方をしたバチが当たったのかな。(笑い)
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