農政:緊急特集・衝撃 コロナショック どうするのか この国のかたち
農協は新型コロナウイルスに何を学ぶか JA十和田おいらせ 小林光浩理事【衝撃 コロナショック どうするのか この国のかたち】(下)2020年5月27日
◆役職員が常に問題意識を持ち実践
最後に、農協は新型コロナウイルスに何を学ぶかが問われていることを指摘したい。それは、「緊急事態での農協の対応力」「組合員の要望への農協の対応力を持つことができているのか」との課題提起である。緊急下での現場対応力を持つ農協作りへの挑戦、組合員のための農協自己改革の取り組みである。
新型コロナウイルスは、感染を防止するため都市封鎖・移動制限によって国家間の経済交流が禁止された。これは、国際貿易のあり方や多国籍企業に代表されるグローバル経済のあり方を問うものとなった。つまり、新型コロナウイルスは私たちに命に関係する食・医療を国内でどう確保するのか、食料安全保障・食の自給確保と医療崩壊阻止の対策を確立しなければならないことを教えた。
また、国内においては、いわゆる三密(感染拡大を防ぐため密閉・密集・密接を避ける)の取り組みが求められたことである。それは、人との接触を避ける取り組みである。通勤や仕事での接触を避けるため、インターネットによる在宅勤務や店舗や飲食店での接触を避けるための宅配サービスの活用、弁当などのテイクアウトや会議による接触を避けるためのテレビ会議など、人と人との接触による仕事をなくす社会作りへの転換である。
それはIT社会におけるAIの活用によるコミュニケーション作りがもっと進むことが予想される。そして、今回改めて高い評価を得たのが社会インフラとして欠かせないのが、宅配事業の物流確保であるということ。また、地域社会インフラの必要性であろう。
◆現場力生かし全国連機能を発揮
私の「新型コロナウイルスに農協は何を学ぶか」の答えは、こうした食料自給率向上とIT社会におけるAIの活用、そして宅配事業の物流確保や地域社会インフラを持続的に農協が対応すること、できるだけ早期に事業確立することである。その取り組みを実現するには、次の二つの取り組みが重要であると考える。第1に農協の現場力を発揮すること、第2に農協事業を変革する全国連機能の発揮である。
第1の農協の現場力を発揮することは、「緊急事態に対応できる現場力を確立すること」「組合員の要望に対応できる現場力を確立すること」「困っている組合員を助けることができる現場力を確立すること」「組合員のための農協事業を提案できる現場力を確立すること」「組合員参加の事業推進ができる現場力を確立すること」などである。
このためには、協同組合事業・協同組合社会を意識した農協事業の問題意識を持つ職員を育成し、職場の仲間が問題意識を共有し、目標の立案と目標の見える化による実践のPDCA管理の小集団活動を進めることである。
第2の農協事業を変革する全国連機能を発揮することは、「農協事業を無店舗化である総合サービス・ネット店舗事業を確立すること」「地域社会インフラの拠点としての総合サービス・コンビニエンスストア店舗事業を確立すること」「全国の地産農産物を消費者の自宅に配布する宅配物流事業を確立すること」「全国地産地消農産物マーケット事業を確立すること」など。
農協の全国的な組織力が発揮されなければならない。特に、地産地消の全国宅配料金は食料自給率向上の国策事業として支援を得るとともに、農協経営努力による送料支援を確立して送料無料を目指すことで全国農協物流を確立したい。
さらに、農協病院(厚生農協連)を中心とした命を守る医療貢献、生活協同組合など消費者の食を守る連帯、あらゆる協同組合との連帯を進めなければならない。
こうした新しい農協総合サービス事業化と農協の現場力強化は、新型コロナウイルスに学ぶことにより実現がスピード化されるであろう。そして、我が国だけでなく世界的にも農協の存在価値が高まるであろう。早期の実現を期待する。
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