農政:全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」
馬淵澄夫 立憲民主党 衆議院議員【緊急特集 全国会議員に聞く「どうするのかコロナ危機」】2021年9月15日
馬淵澄夫 衆議院議員
○馬淵澄夫
○立憲民主党
○衆議院議員
○選挙区:比例代表 近畿
○出身地:奈良県奈良市
【1】現在の政府のコロナ対策についての評価
菅政権発足後の1年間、コロナ対策について無為無策が続いている。いまだPCR検査数は不足し、国産ワクチンは実用化されず、病床はひっ迫し、自宅療養中に亡くなる方も後を絶たない。これらは感染症対策の既得権を守ることに終始した厚労省の責任が大きい。
コロナ対策と一体の経済対策についても、たび重なる緊急事態宣言によって飲食店を中心とした街の中小事業者がダメージを受け、支援は十分に行き届かず、経済回復は主要国中でも最悪の部類だ。
既得権に囚われたまま、コロナ対策を前に進められず、Go Toキャンペーンやオリンピック強行開催のような勇み足、そして緊急事態宣言発令と解除の堂々巡りの中、国民の命は守られず、1年が無為に過ぎ去ってしまったというのが現状。
【2】今後のコロナ対策についての提案
コロナ対策について3段階を考えている。この3段階の対策によって本気で命と暮らしを守り抜く。
まず第1にコロナから医療によって命を守る段階。病床がひっ迫していると言われるが、日本の病院の病床数は民間7割に対して公的病院は3割で、公的病院はコロナ病床を十分に確保していない。例えば東京では地域医療機能推進機構(JCHO)が確保した病床は総病床数の約1割に過ぎない。こうした余力のある病院のフル活用、そして諸外国で設置された野戦病院のようなコロナ治療に特化した施設を緊急に作るなど、あらゆる手段で病床の確保を進めるべき。また、ワクチン普及のみならず、早急に国会を召集して、議員立法で6月8日に提出した、治療用特定医薬品の指定及び使用に関し、緊急的に特別の措置を講ずることのできる日本版EUA整備法案を成立させるべきである。
第2に暮らしを守ることで命を守る段階。大胆な財政支出は世界の流れにもかかわらず、日本の支援は小出しで中途半端である。緊急事態宣言で飲食店を中心とした事業者は疲弊し、今年6月の生活保護受給世帯は、前年同月比で13.3%増加している。国債発行という安定装置を使って、国民の手に届く大胆な財政出動を行わなければならない。具体的には、困窮者への緊急給付金、諸外国で行われている事業者への事後清算型の迅速な支援金振り込みと、返済不能となり廃業に追い込まれることを防止するための緊急的な「借金減額」を行うべきである。
第3段階は長期的に経済を回復軌道に乗せる段階。日々の国民の暮らしを支えるためには、継続的な経済対策が必要。日々の消費の足かせとなる消費税を下げることが何よりの消費喚起策であり、経済を回すことにつながる。まずは、コロナを乗り切るまでの国債を財源とした5%への減税を行い、その後は、法人税や所得税を含めた税制全体の見直しによって財源を確保した上で、5%へと据え置くことを提案する。
【3】コロナ禍で見えてきた日本の政治のあり方について思うことがありますか?
コロナ禍により、政治のリーダーシップの欠如があらためて明らかになったと思う。PCR検査の不足、国産ワクチン開発の遅れ、病床ひっ迫など、医療行政の既得権に斬りこめないまま、空疎な言葉だけが発せられている。国民は政治家の言葉を信用していない。
今、真摯に国民に向き合い、寄り添い、オープンに、自分の言葉で語り、ひたすら国民の命と暮らしを守る政治家が求められていると考える。
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