【世界の農業を考える CORTEVAのトップに聞く】大事なことは共同して取り組むこと(1)2018年11月1日
・RajanGajariaExecutiveVicePresident,CropProtectionPlatform
・KrystaHardenSeniorVicePresident,ExtremalAffairs&ChiefSustainabilityOfficer
10月15日からシンガポールで開催されていたIRC2018(既報)に参加していたCORTEVA Agriscience (ダウ・デュポンのアグリビジネス事業部)を担当するラジャン・ガジャリア(Gajaria)とクリスタ・ハーデン(Harden)のお二人にインタビューする機会を得、現在の世界の農業とこれからを中心にお聞きした。
これからの世界農業の課題は3つ
◆消費者・気候変動・労働力問題
――いま世界の農業にはいろいろな問題がありますが、どのようにその問題に挑戦し解決しようとしていますか?
Gajaria 農業は常にいろいろな問題を乗り越えてきたという歴史があるので、私自身は楽観的に考えています。
そのうえでいまどういう課題があるかといえば、まず、消費者のニーズ・要求に対して生産者が応えられるようにすることが重要だと思います。そこには、消費者の誤解もありますから、そういう人たちの誤解をきちんと取り除いて、私たちのように農業生産者を信じている人たちと同じように農業生産者、生産物に対して信頼していただかなければいけないと考えています。
次の課題は、気候変動・自然への対応です。70億人の食を確保する必要に迫られた状況の中で、ハリケーンや台風、さらに地震もありますが、これらのことにどうやって対処していくのか、どうサポートしていくのかということです。自然災害のみならず、水の問題もあります。消費者が飲む水と農業で使う水が競合する状況で、消費者が必要とする水を確保するために、農業で使う水をどう節約していくのかが二つ目の課題です。
三つ目は農業労働力の問題です。米国でもかつては農業生産場面において海外から働きにくる人たちがたくさんいました。現在は、世界中どこでも、都会に人がどんどん流れて行ってしまっています。人がまだ十分いるところもありますが、そうでないところが増えています。それを乗り越える一つの手段として機械化がありますが、それほど簡単ではありません。実は機械化を受け入れるだけのお金や農地の広さが揃っていないと機械化は進みません。それを含めて労働力の問題が三つ目の課題です。
(写真)Rajan Gajana Executive Vice President, Crop Protection Platform
--大きな3つの課題がある...。
◆仲間たちと共同することが大事
Gajaria 最初にお話した「楽観的」ということでは、過去に乗り越えてきただけではなく、私たちのもっている技術を使ってこれからも一つ一つの課題を乗り越えていくことができるということでもあります。
もう一つは、今回の国際水稲研究会議でよく使われている言葉ですが、エコシステムです。これは自然界におけるエコシステムではなく、いろいろなことを乗り越えるために一緒に共同して仕事をしていく仲間たち、仕組みということです。そういうものを作り上げることで一つの会社ではできないことを、多くの仲間と取り組んで解決していく、それが大事だということです。
◆情報をオープンにする
――「消費者の誤解」と言われましたが...
Harden 大事なことは、生産現場と消費者のつながりがかつては近かったのに段々離れてきて、両者の間の信頼関係が失われたり、農業の現場でどういうことが行われているのかが見えなくなり、なかなか伝わらないために、消費者の生産者に対する信頼が揺らぎつつあります。生産者が使う技術としてのGMOや農薬、また新しく生まれてきた技術に対しても、信頼がされていないという問題です。信頼されていればそれを使うことで安定的な食料供給ができるですが、技術に対する信頼がないために、生産者は良い技術であってもすぐに使うことができない。そういうジレンマがあります。
一つの例としてネット上で「NON GM ウォーター」がものすごい値段で販売され話題になっています(笑い)。そういう話が出てくること自体が信頼を壊す要因になっています。
(写真)基調講演をするMiss.Harden
――それは生産者だけではなく、開発した企業も含めて、どう消費者に伝えていくかという問題でもありますね?
Harden その通りです。企業としては科学的にきちんと応えていかなければいけません。それは、データ情報も含めてオープンにすることですし、モノが作られていくプロセスだけではなく、登録されていくプロセスも含めてオープンにすることで、消費者の皆さんに信頼していただけると思います。
さらにダブルチェックをするプロセスもきちんと存在していて、それを経て物事が行わていることも伝えることです。
もう一つは、消費者の話をよく聞いて、彼らがどこに心配や疑義をもっているのかをきちんと理解し、そこに対して的確に応えていくことです。そうしないといつまでも話がすれ違ったままになります。
| 1 | 2 |
重要な記事
最新の記事
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(25)【防除学習帖】 第264回2024年9月7日
-
土壌診断の基礎知識(34)【今さら聞けない営農情報】第264回2024年9月7日
-
シンとんぼ(108)-みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(18)-2024年9月7日
-
(400)通過点で考えること【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年9月6日
-
JA貯金 残高108兆6185億円 農林中金2024年9月6日
-
適用拡大情報 殺虫剤「トルネードエースDF」 FMC2024年9月6日
-
米の需給 「締まる」見込み強まる 米取引関係者の判断 米穀機構2024年9月6日
-
JA沖縄 24年産米の買い取り価格引き上げ2024年9月6日
-
米 集荷現場や販売先と連携 円滑流通に努力 山野JA全中会長2024年9月6日
-
「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2024年9月6日
-
全国トップクラス「うずら卵」産地・豊橋市で「うずらを愛そう。うずLOVE運動」始動2024年9月6日
-
酒どころ新潟・長岡の酒蔵が集結「越後長岡酒の陣」21日に開催2024年9月6日
-
伊勢丹タータンデザインの日本酒「ICHI-GO-CAN」限定発売 Agnavi2024年9月6日
-
「日清ヘルシークリア」日本パッケージングコンテストで食品包装部門賞2024年9月6日
-
「スイカモザイクウイルス検出キット」開発 ウリ科野菜モザイク病の原因ウイルスを迅速診断2024年9月6日
-
鳥インフル ハンガリー2県からの生きた家きん、家きん肉等の一時輸入停止措置を解除 農水省2024年9月6日
-
第162回特別勉強会『普及拡大に向け、「今」求められる次世代環境制御』開催 植物工場研究会2024年9月6日
-
村上農園 世界小児がん啓発キャンペーンに協賛 11日に広島城をライトアップ2024年9月6日
-
全国の旬のぶどうを食べ比べ「国産ぶどうフェア」10日から開催 JA全農2024年9月6日
-
人手不足の課題解決へ 収穫ロボットをJA全農いわてへレンタル AGRIST2024年9月6日