雑草防除で成果保証型サービス開始 節水型乾田直は栽培を普及へ BASFジャパン2025年1月30日
BASFジャパンは今年から、節水型の乾田直は栽培を行う水稲生産者を対象に、雑草防除をBASFが請け負い、成果を保証するサービス「xarvio HEALTHY FIELDS(ザルビオヘルシーフィールド)」の提供を始める。残雑草に応じて返金を伴う成果保証型のサービスは日本の農業分野では初めてとしている。
ヤマザキライス 山崎能央社長
節水型乾田直は栽培は整地や育苗、移植、水管理などの工程を省くことができる。しかし、田んぼに水を張らないため、雑草が発生しやすいことが最大の課題となっている。BASFは雑草管理プログラムを開発し、24年に埼玉県北葛飾郡のヤマザキライス(山崎能央社長※)のほ場(11ha)で大規模な実証実験を行った。この結果「すべてのほ場で雑草害の極小化に成功し、収量はほぼ移植水稲並みを確保」。工程削減により労働時間は約70%削減し、メタンガス排出量も「87%削減した」(山崎社長)。この結果から雑草管理プログラムの有効性を確認し、サービス開始を決めた。
農地の集約化、大規模化に伴い、農業生産の効率化と生産性の向上が求められ、BASFは節水型乾田直は栽培により利益率を高められるとしている。農水省のデータをもとにした試算では、1俵1万9500円とした場合の10aあたりの利益率は、移植水稲の49%に対して、節水型乾田直はで「ザルビオヘルシーフィールド」を利用した場合は59%と高まる。同社は「これに満足せず、将来は利益率69%を目指す」(野田信介アグロソリューション事業部事業部長)としている。
BASFジャパン 野田信介アグロソリューション事業部長
「ザルビオヘルシーフィールド」サービスは①専用機能の雑草管理プログラム②「ザルビオ」推奨の農薬散布計画を反映した農薬と作業の手配③雑草防除に必要な農薬の提供④代行業者が実施する農薬散布作業をセットにする。25年の対象地域は本州(北海道、四国、九州・沖縄を除く)とし、シーズン前に設定した固定価格でサービスを提供する。
サービス価格は10aあたりの目安が1万9800~3万4800円(税抜き)。保証期間は①は種から分げつ期まで②幼穂形成期まで③乳熟期までの三つで、重要な科・雑草をカバーする。返金対象は、クラス1の「残草ゼロではなく十分な収量を期待できる『よく管理された状態』」が返金なし。返金対象のクラス2と3は、ほ場内の平均残草量(本数)で規定する。保証期間と残草量に応じた返金は30%から全額返金まで設定し、農薬と農薬散布の費用も含む。同社は「将来的に収量の保証まで踏み込みたい」としている。
実証実験を行ったヤマザキライスも同サービスを推奨する。同社は水稲で110haを保有するが「近い将来に耕作面積が2、3倍になる」と想定。実証実験で節水型乾田直はに取り組み、設備機械コストを60%削減。4~7月中旬の移植稲作期間の労働時間は70%削減し、特に複数の作業が重なる期間に労働量をピークカットできたことで「思い切った耕作面積の拡大も可能」になる。「湛水型の乾田直播は大型トラクターを持つ大規模農家しかできなかったが、バイオスティミュラントの登場で小中規模の農家でも節水型乾田直はに転向できる」と話す。
※ヤマザキライスの山埼社長の「崎」は本来は異体字です。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日