農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識 2014
【現場で役立つ農薬の基礎知識 2014】[15]営農に役立つ農薬の基幹品目(水稲編)2014年12月15日
JA全農の平成27農薬年度水稲基幹品目
1.特別重点推進品目
2.重点品目
3.系統育成品目
4.その他の基幹品目
5.大型規格設定品目
全農では、効果が優れ、低コスト・安全・省力などの利点があり、農家の営農に役立つ農薬を基幹品目として位置づけ、普及推進に取り組んでいる。この度、平成27農薬年度の基幹品目が決定されたので、それらのうちの水稲用品目を紹介する。
基幹品目の中でも特に事業推進上重要と位置付けられる品目を特別重点推進品目、重点推進品目、系統育成品目として設定し、さらにコスト削減に寄与できる大型規格も設定しているので、あわせて以下に紹介する。
◆特別重点推進品目
基幹品目の中でも特に重要な品目で、系統主導で品目推進を図る品目を選定している。
○水稲除草剤
水稲除草剤分野では、全農の共同開発品目であるMY-100(オキサジクロメホン)と、AVH-301(テフリルトリオン)の混合剤を特別重点品目として設定した。
テフリルトリオン(AVH-301)は、全農とバイエルクロップサイエンス(株)、北興化学工業(株)が共同開発した除草剤であり、本年は「エーワン」「ゲットスター」「コメット」「ボデーガード」の4剤が全国13万haの水田で使用された。AVH-301は、SU抵抗性雑草を含む一年生雑草や多年生雑草や、全国的に増えているイボクサ、アシカキといった特殊雑草に高い効果を持つことが評価されている。また、ヒエ剤との2種混合で既存の一発処理剤と同等以上の性能があるので、特別栽培での使用にも適している。26年度はAVH-301を含む新規除草剤として「カチボシ」「ワイドショット」が上市された。27年度も引続き特別重点品目としてさらなる普及拡大を目指す。
そのほか特別重点品目に選定された品目はオキサジクロメホン(MY-100)の混合剤が中心である。これは全農がバイエルクロップサイエンス(株)と共同開発した除草剤であり、ヒエに対する高い効果と残効性が特徴である。
現場のニーズに合わせて選択できるようラインナップも充実しており、AVH-301との混合剤である「エーワン」、ピラクロニル・ピラゾスルフロンエチル、およびベンゾビシクロンとの4成分混合剤で安定した効果と残効性が特徴の「シリウスエグザ」、ピリミスルファン、ベンゾビシクロンとの3成分混合剤であるである「ナギナタ」、ピラクロニル、イマゾスルフロンとの3成分混合剤である「サラブレッドKAI」等多数の商品をそろえている。いずれもヒエのほか、コナギ、アゼナなどのSU抵抗性雑草にも効果が高い剤である。

○殺虫殺菌剤
水稲殺虫殺菌剤では、長期残効型で高い効果を示す「嵐プリンス箱粒剤」、「デジタルコラトップアクタラ箱粒剤」や、育苗箱で処理して小型カメムシまで効果を示す箱処理剤の「デジタルメガフレア箱粒剤」を設定している。いずれも大型規格もラインナップしており、低コスト化を図ることができる。

◆重点品目
基幹品目の中で、大型かつ全国的な品目で、事業推進上特に重要な品目を選定している。
水稲用の農薬としては、除草剤の中後期剤では、「ワイドアタックSC」、「フォローアップ1キロ粒剤」、「テッケン1キロ粒剤」が選定された。箱処理剤では「Dr.オリゼプリンス箱粒剤」、「フルサポート箱粒剤」、種子消毒剤の「テクリードCフロアブル」などが設定されている。
◆系統育成品目
全農の試験等を通じその効果や作物への安全性が確認されている品目で、防除上必須の品目であり、系統主導で普及推進を図りたい品目を選定している。
ヒエだけでなくオモダカ等の広葉雑草にも効果のある除草成分ピラクロニルを含む「ピラクロン」、「バッチリ」、本田カメムシ防除剤である「スタークル1キロH粒剤」、「キラップ粒剤」、微生物種子消毒剤の「タフブロック」などがある。いもち剤イソチアニル(商品名ルーチン、スタウト)剤では、低コスト剤である「ルーチンバリアード箱粒剤」がある。
いずれも、大型品目に成長する見込みのある品目として選定されており、効果が高く、既に現場で普及されている品目もある。
◆その他の基幹品目
その他の基幹品目としては、ウンカに効果の高いチェスとチョウ目害虫に効果の高いフェルテラ剤の混合剤である「デジタルバウアー箱粒剤」等がラインアップされている。また、初期除草剤である「メテオ」は、AVH-301剤などの一発処理剤との体系処理により、低コストで安定した効果が期待できる。
◆大型規格設定品目
全農では、担い手農家支援のひとつとして、通常の規格よりも割安な「大型規格」を設定している。大型規格を使用することにより、単位面積あたりの防除コストを引き下げ、省力化を図ることもできる。
平成27農薬年度も主力の除草剤、箱処理剤で大型規格を設定している。除草剤の粒剤や水稲箱処理剤の10kg規格(1ha相当)や、除草剤フロアブルの2L規格(40a相当)が主流であるが、ジャンボ剤の30a相当規格や、「デジタルコラトップアクタラ箱粒剤」および「デジタルメガフレア箱粒剤」の3kg規格(30a相当)など一般農家でも使用しやすい規格もある。
「嵐プリンス箱粒剤」など播種同時処理のできる箱処理剤の10kg規格は、大規模農家や大型育苗センターなどで機械処理に利用され好評である。
なお、大型規格は地域によって取り扱いが異なるので、まずは最寄りのJAでお問い合わせいただきたい。
重要な記事
最新の記事
-
第21回イタリア外国人記者協会グルメグループ(Gruppo del Gusto)賞授賞式【イタリア通信】2025年7月19日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「政見放送の中に溢れる排外主義の空恐ろしさ」2025年7月18日
-
【特殊報】クビアカツヤカミキリ 県内で初めて確認 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年7月18日
-
『令和の米騒動』とその狙い 一般財団法人食料安全保障推進財団専務理事 久保田治己氏2025年7月18日
-
主食用10万ha増 過去5年で最大に 飼料用米は半減 水田作付意向6月末2025年7月18日
-
全農 備蓄米の出荷済数量84% 7月17日現在2025年7月18日
-
令和6年度JA共済優績LA 総合優績・特別・通算の表彰対象者 JA共済連2025年7月18日
-
「農山漁村」インパクト創出ソリューション選定 マッチング希望の自治体を募集 農水省2025年7月18日
-
(444)農業機械の「スマホ化」が引き起こす懸念【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月18日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲害虫の防ぎ方「育苗箱処理と兼ねて」2025年7月18日
-
最新農機と実演を一堂に 農機展「パワフルアグリフェア」開催 JAグループ栃木2025年7月18日
-
倉敷アイビースクエアとコラボ ビアガーデンで県産夏野菜と桃太郎トマトのフェア JA全農おかやま2025年7月18日
-
「田んぼのがっこう」2025年度おむすびレンジャー茨城町会場を開催 いばらきコープとJA全農いばらき2025年7月18日
-
全国和牛能力共進会で内閣総理大臣賞を目指す 大分県推進協議会が総会 JA全農おおいた2025年7月18日
-
新潟市内の小学校と保育園でスイカの食育出前授業 JA新潟かがやきなど2025年7月18日
-
令和7年度「愛情福島」夏秋青果物販売対策会議を開催 JA全農福島2025年7月18日
-
「国産ももフェア」全農直営飲食店舗で18日から開催 JA全農2025年7月18日
-
果樹営農指導担当者情報交換会を開催 三重県園芸振興協会2025年7月18日