農薬:防除学習帖
トマト防除暦の作成27【防除学習帖】第161回2022年8月6日
本稿では、トマトの様々な作型や地域での防除暦作成のための基礎資料として活用できることを目指して月別の基礎防除暦の作成に取り組んでおり、今回は10月の防除を整理する。
1. 一般栽培
本作型では、10月は収穫終盤にあたる時期でもある。
10月は次第に気温も下がり、葉かび病や斑点病に加え、オオタバコガなど大型チョウ目の発生が目立ってくるので、発生始めから丁寧に散布する。黄化葉巻病対策として微小害虫防除を中心に組み立てながら、大型チョウ目の防除を予防主体で確実に行う。特に、オオタバコガは、果実への侵入により被害が甚大なので、果実への喰い入りを確実に防げるように発生時期を見越した予防散布を徹底する。
耕種的防除法では、施設栽培の場合は微小害虫用に張った防虫ネットが大きな効果を発揮する。
これに対し露地栽培の場合、物理的に侵入を防ぐ手立てはないのでフェロモン剤を設置して交尾を阻害し、幼虫の発生を防ぐ。フェロモン剤は、施設の場合は施設ごとに設置できるが、露地の場合は、できるだけ栽培ほ場を含む広範囲に設置した方が効果も高くなる。できれば園芸産地全体で設置できると大型チョウ目害虫の防除が大幅に減らせるので、地域のIPM防除推進にも役立つ。
2. 抑制栽培
本作型では10月は収穫最盛期にあたる。一般栽培同様に主に微小害虫防除や葉かび病、斑点病防除を中心に加えて、大型チョウ目害虫防除を予防主体で確実に行う。前述のとおり、果実に侵入されてからでは手で取る以外方法がなくなる防除手段がないので、喰入り前に確実な防除を徹底する。
3.促成栽培
10月は定植の時期である。定植時の微小害虫防除の粒剤処理をはじめ。オオタバコガやヨトウムシ、ハスモンヨトウの発生が多くなる時期でもあるので、植付前に苗へのジアミド含有剤の灌注処理により、植付後初期の被害防ぐことも検討する。
4.半促成栽培
10月は、11月の定植に備えて土づくりや土壌消毒などほ場の準備を行う。特に、前作で土壌病害虫の被害が大きかった場合には、この期間を利用して土壌消毒を確実に行うようにする。ただし、日照も不十分となってくるので、太陽熱消毒のみでは温度が十分に上がりきらない場合があるので消毒方法の選択には注意が必要である。
重要な記事
最新の記事
-
農薬の正しい使い方(41)【今さら聞けない営農情報】第307回2025年7月19日
-
第21回イタリア外国人記者協会グルメグループ(Gruppo del Gusto)賞授賞式【イタリア通信】2025年7月19日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「政見放送の中に溢れる排外主義の空恐ろしさ」2025年7月18日
-
【特殊報】クビアカツヤカミキリ 県内で初めて確認 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年7月18日
-
『令和の米騒動』とその狙い 一般財団法人食料安全保障推進財団専務理事 久保田治己氏2025年7月18日
-
主食用10万ha増 過去5年で最大に 飼料用米は半減 水田作付意向6月末2025年7月18日
-
全農 備蓄米の出荷済数量84% 7月17日現在2025年7月18日
-
令和6年度JA共済優績LA 総合優績・特別・通算の表彰対象者 JA共済連2025年7月18日
-
「農山漁村」インパクト創出ソリューション選定 マッチング希望の自治体を募集 農水省2025年7月18日
-
(444)農業機械の「スマホ化」が引き起こす懸念【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月18日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲害虫の防ぎ方「育苗箱処理と兼ねて」2025年7月18日
-
最新農機と実演を一堂に 農機展「パワフルアグリフェア」開催 JAグループ栃木2025年7月18日
-
倉敷アイビースクエアとコラボ ビアガーデンで県産夏野菜と桃太郎トマトのフェア JA全農おかやま2025年7月18日
-
「田んぼのがっこう」2025年度おむすびレンジャー茨城町会場を開催 いばらきコープとJA全農いばらき2025年7月18日
-
全国和牛能力共進会で内閣総理大臣賞を目指す 大分県推進協議会が総会 JA全農おおいた2025年7月18日
-
新潟市内の小学校と保育園でスイカの食育出前授業 JA新潟かがやきなど2025年7月18日
-
令和7年度「愛情福島」夏秋青果物販売対策会議を開催 JA全農福島2025年7月18日
-
「国産ももフェア」全農直営飲食店舗で18日から開催 JA全農2025年7月18日