農薬:サステナ防除のすすめ2025
【サステナ防除のすすめ2025】秋まき小麦防除のポイント 除草とカビ対策を2025年9月19日
秋まき小麦は湿害を受けやすい作物でもあり、特に秋から冬にかけての長雨は大敵であり、11月に長雨があると、は種時期の遅れや苗立ち不良が起こり、肝心な穂数が少なくなってしまう。
小麦栽培では、主に雑草防除と病害防除が行われており、病害では赤かび病や赤さび病、うどんこ病が主なものである。
畑の乾燥が肝要
秋まき小麦栽培は、雑草退治と畑の乾燥から始まる。は種前に繁茂している雑草を非選択性茎葉処理除草剤でできれば根まで枯らし、は種前に2~3回の耕てんを行って、は種土壌を適度に乾燥させておく必要がある。
水稲の後作の場合は、土壌が乾燥しづらいので水稲の終了後、速やかに準備を始め、小麦のは種に適した畑の状態にする必要がある。例えば、水田内に排水溝を掘って排水を促したり、設置条件が合致するようであればFOEAS(地下水位自動制御システム、農研機構・全農)など、地下水位を制御できる設備を導入するなどして、排水対策をしっかりと進めてほしい。また、小麦は酸性に弱いので、は種前に土壌診断を実施し、酸度矯正が必要であれば、苦土石灰など石灰質資材を投入しpHを適正に保つようにする。特に、水稲栽培後の水田土壌は酸性に傾いていることが多いので、水田後作で小麦栽培をする場合には土壌pHの測定を欠かさないようにしてほしい。
は種前後に除草対策を
土壌のは種に適した乾燥状態にするためにもは種前の雑草防除は欠かせない。
は種前の雑草対策には、グリホサートなどアミノ酸系の非選択性除草剤を使用し、雑草の根まで枯らすようにしてほしい。ただし、アミノ酸系除草剤は、効果が完成するまでに少なくとも2週間程度はかかるので、耕起の前には雑草が根まで十分に枯れていることを確認してから行うよう心がけてほしい。そのため、アミノ酸系除草剤の散布時期は、は種日から逆算して20~30日前までには終わらしておくことが望ましい。
は種前の除草の後には、は種後に発生してくる越年生雑草対策を行ってほしい。
小麦畑で被害を起こす主な越年生雑草は、スズメノテッポウ(越年草・生育期間10~6月・イネ科)、ヤエムグラ(越年草・生育期間10~7月・アカネ科)、カラスノエンドウ(越年草・生育期間11~9月・マメ科)、カラスムギ(越年草・生育期間9~10月・イネ科)であり、自身のほ場で優先している雑草種に合わせ、は種直後などに土壌処理剤を確実に処理するようにしてほしい。
除草の基本は土壌処理
小麦栽培での雑草防除の基本は、は種前後の土壌処理除草剤処理である。
近年では、小麦の生育期に使用できるスルホニルウレア(SU)系の除草剤(ハーモニー)が登場し、厄介なスズメノテッポウ対策等に貢献している。ところが、この薬剤に対する抵抗性を示すスズメノテッポウが発生しており、そのようなほ場では土壌処理剤を中心とした除草が効果的である。
土壌処理除草剤は多種あるが、トリフルラリン(トレファノサイド)剤やペンディメタリン(ゴーゴーサン)剤の効果に定評がある。いずれも雑草によっては得手不得手がある場合があるので、事前に指導機関の情報などを確認して使用する除草剤を選ぶようにしたい。
実際の使用の前にはそれぞれの製品ラベルに記載の使用方法や使用上の注意をよく読んで、自身が所有する防除器具に合わせて剤型等を選び、正しく使用するようにしてほしい。
なお、生育期に使用できるハーモニー剤は、極微量で抑制効果があるため、他作物への飛散害や器具洗浄不足による他作物への影響などが起こりやすいので、特に使用後の洗浄法など製品ラベルの注意事項を遵守して正しく使用するようにしてほしい。
コムギ赤かび病防除
コムギ赤かび病は、主にフザリウム属菌(糸状菌・不完全菌類)が病原菌の病害である。穂や茎、葉身、幼苗などに発生するが、主な発生部位は穂である。初め小穂が点々と褐色になり、穂先の合わせ目に沿って桃色のカビを生じる。その後、カビが広がり黒色粒となる。このカビが繁茂するとDON(デオキシニバレノール)やNIV(ニバレノール)と呼ばれるカビ毒を発生させ、食品衛生上の安全性を確保する基準として1・1ppmが設定されており、この基準を超過すると流通できない。
このため、小麦栽培においては、赤かび病を発生させないように丁寧に防除を行うことが肝要である。
開花期~乳熟期に雨が多いと発生が多くなるので、このような時期を中心に防除を徹底する。毎年発生しているようなほ場では、特に注意が必要である。
効果の高いトップジンMには耐性菌が発生しているので、使用薬剤の選択にあたっては、地元の指導機関等の指導に従って選ぶようにしてほしい。
コムギ赤さび病防除
コムギ赤さび病は、葉に盛り上がったブツブツした赤褐色の病斑を発生させる。
病原菌はプクシニア属菌(糸状菌・担子菌類)で大量に病斑を発生させ、葉の活力を低下させることにより、穂数や一穂粒数の減少、粒重の低下を起こし、多発した場合は20~30%の減収を起こすと言われている。
小麦の生産ほ場では収穫後のこぼれ麦上で越夏した夏胞子が秋には種された麦に感染し、植物体上で夏胞子または菌糸の形で越冬して翌春の伝染源となることが多い。過繁茂になるほどの多肥条件下や冬が温暖で雨が多い年に発病が多く、高温多照の気象条件が発病を助長する。
伝染源となる発病ほ場で収穫後に発芽したこぼれ麦やひこばえを抜き取って処分するとともに、適正なは種量とは種時期および施肥量を守る。薬剤防除は発生初期に行うことを心がけ、止葉の抽出が始まった時期に下葉に赤さび病の病斑が例年より多いようであれば早めに防除を開始する。
コムギうどんこ病防除
コムギうどんこ病はブルメリア属菌(糸状菌・子のう菌類)が病原菌であり、葉、葉鞘(しょう)、茎、穂、芒(のぎ)など全身に発生する。初め白いカビが点状に生じ、その後うどん粉を撒いたように葉全体に拡大する。後にカビは灰色になり、病斑は下葉から上位葉に拡大し、病勢が激しい場合は葉が枯れあがり、小麦の生育に大きな影響を与える。風通しや日当たりの悪いほ場で発生しやすく、小麦の生育が早く繁茂が早い年に発生が多くなる。耐性菌が発生しやすい菌であるので、同系統の薬剤の連続散布を避け、作用性の異なる剤とのローテーション散布など耐性菌対策に留意する。
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