農薬:農薬危害防止運動2016
【平成28年農薬危害防止運動始まる】安全防除運動 JAグループの取り組み(2)2016年5月31日
農作物・生産者・環境の安全を
 6月を迎え、水稲はもちろん、野菜や果樹などを含めて、農作業が忙しくなる時期となり、これから数ヶ月はどの作物にとっても病害虫や雑草が発生しやすく、その防除が必要な時期でもある。そのため国(農水省・厚労省・環境省)は毎年、6月1日から8月31日までの3カ月間を「農薬危害防止運動」実施期間と定め、適切な農薬使用に取り組むことにしている。
 また、JA全農も毎年この時期を「安全防除運動」月間と位置づけ、「農作物、農家、環境」の3つの安全のための基本を確認し、実践する運動を展開している。そこで、今年のJAグループ安全防除運動のポイントなどについて、JA全農肥料農薬部技術対策課にまとめていただいた。
◆農薬散布時の注意事項と周辺への配慮
 農薬の効果を十分に発揮させるためには、圃場整備やその後の管理が重要となる。農薬は水系や土壌、周辺環境への影響を確認した上で登録されているが、農薬を使用する際には圃場外に出さない配慮が必要となる。特に水田においては、農薬の効果を十分に発揮させるためにも田面の均平化、湛水深の確保などの圃場整備とともに、施用した農薬成分を圃場外へ出さない水管理が重要であり農薬処理後7日間の止水管理を徹底していただきたい。
 農薬の効果を十分に発揮させるためには、圃場整備やその後の管理が重要となる。農薬は水系や土壌、周辺環境への影響を確認した上で登録されているが、農薬を使用する際には圃場外に出さない配慮が必要となる。特に水田においては、農薬の効果を十分に発揮させるためにも田面の均平化、湛水深の確保などの圃場整備とともに、施用した農薬成分を圃場外へ出さない水管理が重要であり農薬処理後7日間の止水管理を徹底していただきたい。
 農薬を適正に散布していても飛散を防ぎきれない場合もあるが、事前の対策、散布時のきめ細かな対応によりリスクを減らすことはできる。使用する農薬については、より飛散の少ない剤型や周辺作物にも適用がある薬剤へ切替える、農薬散布時では、風や散布方向に注意するなど飛散防止対策の基本となる方法をしっかり行なうことで、リスクをへらすことが可能である。飛散低減ノズルや遮蔽ネットの使用など散布条件や圃場環境の改善によっても十分な効果が得られる。
 なお、住宅地や公共施設、養蜂場などが圃場近くにある場合は、農薬散布を事前に連絡し、被害防止のための対策をお互いに行なうなど、地域一体となって取り組む体制づくりをお願いしたい。
◆管理の徹底が安全につながる
 生産者の健康管理、散布機具の整備、農薬の保管・管理と、あらゆる場面で管理を徹底していくことが事故をなくし安全につながる。農薬を使用する時は、面倒と思わず保護具をしっかり着用し、自らの安全も確保する。また、農薬は専用の保管場所で鍵をかけて管理し、使用者以外が触れないようにする。
 散布機具は使用後、必ず洗浄をすることを忘れないようにする。
 散布液調整の際は希釈液を作る前に器具内に水を通して洗浄し、コックを開いた直後の液はなるべく作物にかけないようにするとより安心である。また、作物の残留基準値超過の事例として散布器具の洗浄不足も原因の一つとなっている。散布器具内に農薬が残ったまま次の作物に使用したことで、対象の作物に使っていないはずの農薬が検出されたり、薬害を起こす事がないようにしたい。散布器具は使用後の洗浄と使用前の再度の洗浄確認を是非実践していただきたい。
◆防除暦の充実と活用
 防除暦には栽培ステージに沿った防除対策など多くの情報が盛り込まれており、農薬の選定や防除法の確認のための重要な資料として生産者に活用されている。
 防除暦は、防除の技術情報や指導を伝えるだけでなく、農産物の安全性を確保するためのツールとしても機能している。省力・低コスト、効率防除の観点からも防除暦の作成・活用が大きな役目を果たすと考えられる。
 JA全農では、モデル防除暦の作成を進めている。モデル防除暦では栽培スケジュールに沿って防除が必要な病害虫を明確にし、防除が必要となる発生の目安を示した上で、どういう薬剤をいつ使用すればよいのかを「見て分かる」ようにする。また、定期的な農薬散布ではなく、病害虫の発生を見ながら適期散布の実践につなげる。作成する暦には効率的な防除法のほか、抵抗性問題、環境への配慮、低コスト・省力防除などを盛り込むなど多面的な視点からの防除体系の提案を合わせ行っていく。
 なお、生産地で使える暦にするには、実際の栽培状況に合わせて作成していくべきであり、「全ての地域、全ての作物で防除暦を作成すること、多様な生産者にも対応できること」が今後の課題となる。
◆農作物の栽培から出荷まで
 生産形態や販売方法も多様化してきており、地域の農産物直売所も多くなってきた。出荷者の中には、少量多品目のみを栽培する場合も多い。これらの生産者に対し防除対策、農薬適正使用の指導が十分でないことも考えられる。また、直売所においては、農作物の生産から加工・販売まで、衛生面や表示など全工程におけるリスク管理が求められる。
 地産地消を進めるJA全中とも連携しながら、JA直売所を中心に出荷者に対し生産・販売においての問題点・課題等を認識いただき、十分な対応策を実践していただきたいと思う。
◆直売所出荷を含む全生産者への適正指導
 農作物を栽培から、収穫物を出荷するまでには多くの注意すべき事項があることは言うまでもない。農薬の適正使用はもちろんであるが、圃場整備においては、圃場周辺からの汚染がないよう整備し、使用する水の安全性を確認しておく必要もある。
 生産段階においては資材の選定・保管、作業性の効率、農機具の管理も重要となる。そして収穫した農作物が汚染されることのないよう収穫用資材を区別し、生産作業の資材と混在させないよう保管管理をしっかり行うことである。
 安全な農作物を提供していくためにも、農薬の適正使用、安全管理を実践していただきたい。
(全国農業協同組合連合会 肥料農薬部技術対策課)
(写真)背負動噴による農薬散布
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