前年度比3.2%増 2020年度食品通販市場調査 矢野経済研究所2020年8月31日
矢野経済研究所は、2020年度の国内食品通販市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
食品通販市場規模推移と予測
市場概況
2019年度の国内食品通販市場規模は、小売金額ベースで前年度比3.2%増の3兆8086億円の見込み。食品通販市場は、飲料水や米、酒類、健康食品など常備性・習慣性が高い、あるいは商品重量があるカテゴリにおいて、潜在的ニーズが高い傾向にある。
2019年度は、冷夏の影響で飲料水の需要が前年より落ち込んだことや、消費税増税に伴う支出抑制傾向など、食品通販市場にとっても厳しい市場環境だった。一方で、自然災害の多発により、備蓄意識が高まり、飲料水や保存性の高い食品の需要が顕在化し、通販でまとめ買いするニーズが顕在化した。
また、年度末から新型コロナウイルス感染拡大の影響により、スーパー店頭での密集を避けるために通販で食品をまとめ買いするといった購買行動が広がった。ただ、コロナ禍においては緊急事態宣言が発令された4月以降に影響が拡大したことから、2019年度の食品通販市場は前年度並みの伸長率を見込む。
食品通販市場における新型コロナウイルスの影響
2020年1月下旬から一部で新型コロナウイルス感染拡大懸念が広まったものの、食品通販の需要に影響が出始めたのは、学校の休校が発表された2月末以降。学校の休校やリモートワークの導入、不要不急の外出自粛などによって在宅率は上昇し、食料品の買いだめ需要が広がった。特に、スーパー店頭での密集を避けるために、自宅まで配送してもらえる食品通販は需要が急増し、一部では商品欠品や出荷能力の限界から、受注を制限するほどだった。
日常使いの食料品に対する需要増加だけではなく、お取り寄せグルメ・スイーツに対する需要も増加した。外食や旅行に行けないため、"食" は自宅でできる唯一の楽しみとなり、高価格帯のハンバーグやソーセージなどを食品通販で取り寄せて、自宅で普段より高級な食事を楽しむという需要も取り込んだ。特に、例年5月はゴールデンウィークで在宅率が低下するため、食品通販の需要は減退するが、2020年は緊急事態宣言下で在宅率が高かったことも、食品通販の需要を押し上げたとみられる。
6月以降、緊急事態宣言の解除に伴い、緊急事態宣言下の特需は緩和したが、感染者数が増加傾向に転じ、第2波、第3波が懸念される中で、食品通販に対する需要は引き続き高いとみられる。コロナ禍をきっかけに、食品通販サービスを使用した人が、利便性の高さや提供される商品・サービスの品質の高さを実感して、一部定着する可能性もある。
将来の展望
2020年度は緊急事態宣言が発令された後に、スーパー店頭での密集を避けるために、自宅まで配送してもらえる食品通販は需要が急増し、例年、在宅率が低下する5月の時期の在宅率が高かったことで、デイリー需要にとっても、また、お取り寄せ需要にとっても大きなプラスとなった。6月以降、学校の再開や出勤再開など、人出が徐々に回復している中で、食品通販市場においては、業態によって5月までの需要急増が一部定着するものと、一過性の需要急増で例年通りに戻るものに分かれるとみられる。
例えば、ショッピングサイトやネットスーパー、食品メーカーダイレクト販売(直販)のように、スポットでの購入利用が中心の業態(チャネル)については、緊急事態宣言下の需要急増は一時的な影響にとどまる見通し。
一方で、生協や自然派食品宅配のように、定期購入を前提とした会員制販売サービスの業態は、緊急事態宣言が解除されたからといって、コロナ禍以前の水準に即座に戻るということは考えにくい。一度利便性を実感したユーザーは、自身の事情やライフスタイルに適した購買リズム・購買量をさぐりながら、withコロナ時代の中で一定数が定着していくとみられる。2021年度以降の国内食品通販市場は、業態によって伸長・縮小の差はありながら、また、成長率は鈍化しながらも、緩やかな拡大基調が続くと予測する。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】トマト立枯病 県内で初めて確認 山口県2025年8月8日
-
【注意報】水稲の斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2025年8月8日
-
【注意報】ナシにハダニ類 県下全域で多発のおそれ 鳥取県2025年8月8日
-
【注意報】いねに斑点米カメムシ類 全域で多発のおそれ 山形県2025年8月8日
-
トランプ関税で支援求める 自民党対策本部でJA全中2025年8月8日
-
(447)孤独担当大臣と「チャッピー」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年8月8日
-
JAガソリンスタンド給油キャンペーン スマートウォッチや折り畳み自転車が当たる JA全農にいがた2025年8月8日
-
北海道上川の夏の恵み「JAグループかみかわフェア」開催 JA全農2025年8月8日
-
2025年度JA営農指導実践熊本県大会開催 JA熊本中央会2025年8月8日
-
機能強化したピーマン収穫ロボット JA全農いわてに導入 AGRIST2025年8月8日
-
愛知県産メロン501玉 県内の全児童養護施設へ寄贈 JA愛知信連2025年8月8日
-
スマート農業体験イベントを開催 「農業WEEK」と連携 スマート農業イノベーション推進会議2025年8月8日
-
新米シーズンに向け新デザイン米袋3種を発売 アサヒパック2025年8月8日
-
売上高41.0%増 2026年3月期第1四半期決算 日本農薬2025年8月8日
-
埼玉・道の駅おがわまち「夏の縁日まつり」8日から開催2025年8月8日
-
「第4回全国桃選手権」最高金賞は山梨県甲州市「甘麗露」日本野菜ソムリエ協会2025年8月8日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年8月7日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岡山県2025年8月7日
-
【注意報】早植え水稲・普通期水稲に斑点米カメムシ類 多発に注意 佐賀県2025年8月7日
-
水稲の斑点米カメムシ類 1道2府26県で注意報 病害虫発生予報第6号 農水省2025年8月7日