東日本大震災から10年 組合員と生産者がつながるイベント開催 生活クラブ岩手2021年2月17日
生活クラブ生活協同組合・岩手は2月11日、東日本大震災から10年の企画として、“森・川・海をつなぐ循環社会”をテーマに「東日本大震災から10年 生産者と語らう会」を開催した。
ビデオ通話による開催風景
1か月後に震災発生から10年を迎えるこの日、生活クラブに縁の深い岩手県・宮城県エリアの生産者3団体である重茂漁業協同組合(岩手県宮古市)、高橋徳治商店(宮城県石巻市)、丸壽阿部商店(宮城県本吉郡南三陸町)と組合員をビデオ通話でつなぎ、震災当時の話から今後の展望について語り合った。
生活クラブのカンパ金で寄贈された船で定置網漁を行う重茂漁業協同組合の齊藤義治さんは、各漁家が養殖ワカメの収穫前の間引き作業をしているという現在の様子を伝えた。また、震災当時中学生だった吉川拓真さんと戸村和希さんは、震災の記憶から将来の夢を話し、吉川さんは「震災で海を嫌いになることはなかった。震災という大きな出来事を機に興味を持つようになり、漁師になった。これからも、ずっと続けて行きたい」と話した。戸村さんも「震災があっても海を怖いと思ったことはない。何この!と奮起して小さい頃からなりたかった漁師になった。重茂のワカメは日本一美味しいので、一度食べたら他のワカメが食べられなくなるくらい」と胸を張った。また、齊藤さんは「私が生まれた年に石鹸運動が始まり、今では普通の習慣になっている。とてもいい環境で育てたワカメや昆布を皆様にお届けできるのは一番の自慢」と伝えた。
丸壽阿部商店の阿部寿一さんは「当時の津波の後は空襲にでもあったかのような状態の中、避難先に生活クラブの配送車が現れた瞬間は夢のようだった。生活クラブからは多くの支援をいただきました」と当時の様子を振り返り、今の町の様子や漁業の様子を話した。また、震災後10年が経ち、高台に災害公営住宅も完成し、県外からも人気のさんさん商店街には活気があふれ、南三陸町役場本庁舎や南三陸町震災復興祈念公園の完成など町の復興が進む中、漁業も大きく変わったという。「ポイントは、持続可能で高品質な牡蠣の養殖です。震災で全てが流され"ゼロ"になったことで思い切って養殖の方法を変えた」と阿部さん。棚を減らすなど牡蠣の過密を避けることで、5年後には生産量や品質が上がり、経費や労働時間が4割削減し、収入がアップ。それによって、後継者が増え、今では20~30代が中心になっているという。また、2016年には国内初の国際養殖認証(ASC認証)を取得。南三陸町や女川町は震災前より漁業者が増加している。南三陸町では、この成功事例を共有し、環境の負荷を減らして持続可能な生産を広める努力を続けており、活動が広く認められ、2019年には農林水産省祭天皇杯を受賞しました。
イベント参加者の集合写真
高橋徳治商店の高橋英雄さんは、震災当時、高台の神社の社務所を避難場所にしていたところに、道なき道をたどって支援物資を持ってきてくれたのが生活クラブだったと振り返る。「生活クラブの方々に、工場の片づけや機械の洗浄までお手伝いいただいたおかげで11月には生産を再開できた。以降、地域の方々に必要とされる会社になろう!と決めた時に腹に力が入り、今では、地元の食材を使用し無添加で生産しています」と高橋さん。さらに、地元の食材を無駄なく使用するコラボ商品の開発にも力を入れるようになり、海産物だけでなく野菜の加工工場も開設した。高橋さんは、引きこもりの若者たちを支援するために必要な場所だと考え、彼らの光になりたいという。「『真手に(までぃに)生きましょう』という言葉がありますが、これは相手のことを丁寧に考えるという意味。これからも、真手に生きたいと思います」とたくさんの思い出や経験からメッセージを伝えた。さらに同社の高橋敏容さんは「これからも、地域に根づいて必要とされる企業として、さらに社員満足度No1の企業を目指して行きます」と今後の展望を力強く語った。
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