産学官連携で醸造 ミルキークイーンで醸す純米大吟醸「桜翔」発売2022年3月24日
浦里酒造店(茨城県つくば市)は3月22日、東京農業大学、茨城県阿見町との産学官連携事業で開発した純米大吟醸「桜翔」を発売した。
純米大吟醸『桜翔』
「桜翔(おうしょう)」は阿見町産の食用米ミルキークイーンを、阿見町が連携協定を結ぶ東京農業大学がバラの「プリンセス・ミチコ」から分離した花酵母『PM1酵母』を使い、浦里酒造店が醸造。ミルキークイーンで醸した日本酒は、リンゴやパイナップルを想わせるフレッシュでフルーティーな香りが特徴となる。
同プロジェクトは2020年から始まり、初年度醸造分はコロナ禍で疲弊する阿見町の飲食店への支援事業で造られ、阿見町内の飲食店で振る舞われた。初年度醸造分の「桜翔」を提供した際、実施したアンケートで評価が高く、販売してほしいという声が多数を占めたため、今年度の醸造分は一般販売することになった。
コシヒカリを基に育種された「ミルキークイーン」
茨城県南部に位置する阿見町は、農業地域として歴史があり昔ながらの田園風景や豊かな自然が広がる。ミルキークイーンはコシヒカリを基に育種された低アミロース米で、阿見町の特産品の一つ。低アミロース米のためモチモチした粘りが特徴で、冷めても硬くならず、強い甘みが口いっぱいに広がる。
お米の「粘り強さ」や「モチモチ感」は食べる際の美味しさに繋がるが、酒造りでは「操作性の悪さ」となる。ミルキークイーンは酒造適正が低く、酒造りに用いている蔵は全国でもほとんどないが、その特徴である「強い甘み」は魅力的。操作性の悪さを改善できれば、芳醇な甘みを活かした特徴的な日本酒を造ることができる。

酒造りには同大醸造科学科の学生が蔵に泊まり込みで参加。大学で学んだ醸造学や知識を実際の酒造りの場で活かし、産学官連携事業に携わった。また、ラベルデザインは桜翔の名前の由来でもある阿見町の木「サクラ」と町に伝わる昔話「姫塚」をモチーフに、『信長の野望』などのキャラクターデザインを手掛ける諏訪原寛幸氏(現あみ大使)が担当した。小売価格は、720mlで1980円(税込)。
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