「飲食店」の倒産、前年比7割増 居酒屋・カフェは過去最多 帝国データバンク2024年1月10日
帝国データバンクは、2023年に発生した「飲食店」の倒産動向について調査・分析を実施。飲食店の2023年の倒産は、768件発生し、前年から7割増となり、「居酒屋」「カフェ」は過去最多だった。集計期間は2023年12月31日まで、負債1000万円以上法的整理による倒産が対象。
飲食店の倒産、2023年は768件発生 前年から7割増「居酒屋」「カフェ」は過去最多い
2023年に発生した「飲食店」の倒産は768件発生し、過去10年で最も少なかった前年(452件)から1.7倍に急増。また、新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出で休業や時短営業など経営環境が大幅に悪化し、事業の継続を断念した飲食店が多く発生した2020年の780件に次ぐ過去2番目の高水準を記録した。
飲食店の業態でみると、2023年の飲食店倒産で最も多いのは「居酒屋」で204件となり、夜間営業の休止などによる影響を大きく受けた20年の189件を上回って年間最多を更新した。「家飲み」の拡大で居酒屋需要がコロナ前に戻らず、経営を支えてきた時短協力金など公的支援などが打ち切られたことで資金繰りが行き詰る個人商店の零細居酒屋で多く発生した。ラーメン店や焼肉店などの倒産が増加した「中華料理店」(109件)、コーヒー豆の価格高騰などが打撃となった「カフェ(喫茶店)」(72件)でも過去最多を更新した。
新規参入の障壁が低い飲食店では過小資本での開店も多く、開店後の事業計画や見通しが甘いケースも少なくない。こうした中で、2023年の飲食店倒産はコロナ禍や人手不足、物価高など、当初の経営計画からは「想定外」の事態に直面し、経営体力が早期に限界に達し破綻したケースが多く発生した。業歴別にみると、2023年は業歴10年未満の飲食店が約4割を占めた。
飲食店を襲った物価高 メニューへの「価格転嫁」するも 仕入・販売価格のギャップ開く
飲食店の倒産が増加した大きな要因の一つに、食材価格や電気・ガス代など「物価高」があげられる。仕入価格の上昇度を示す仕入価格DIは、食品の値上げが本格化した2022年以降、80を超える割合で推移した。一方、販売価格への転嫁(上昇)を示す販売価格DIは60~70前後で推移しており、仕入価格の上昇が販売価格への転嫁を上回った状態が続いている。足元ではメニューの値上げも進んでいるものの、頻繁な価格改定が客離れを招きかねないとの懸念も根強く、コストアップとの「我慢比べ」が2023年中により鮮明となった。
業態別内訳(2020年~)
新型コロナによる行動制限が撤廃されたほか、訪日外国人の増加などで外食需要は緩やかな増加傾向が見込まれるなど、飲食業界の先行きには明るい要素も多い。一方で、物価高や人手不足が原因で事業に行き詰まる飲食店が2023年に相次ぎ、自ら事業を畳む休廃業でも、飲食店は5年ぶりに前年を上回る見通しとなる。生活様式の変化で外食需要も大きく変化している中で、手厚い公的支援の期限切れとともに倒産や廃業の増加局面を迎えている。
足元では、物価高に加えて深刻な人手不足で店舗運営が困難になるといった影響も発生しており、飲食店を取り巻く経営環境は厳しさを増している。「人手不足倒産」も今後発生が見込まれる中で、飲食店の倒産は高水準で推移することが想定される。
重要な記事
最新の記事
-
米粉で地域振興 「ご当地米粉めん倶楽部」来年2月設立2025年12月15日 -
25年産米の収穫量746万8000t 前年より67万6000t増 農水省2025年12月15日 -
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日


































