原発事後から14年 未来のエネルギー考える職員が福島訪問 パルシステム東京2025年6月10日
パルシステム東京は5月31日と6月1日、東京電力福島第一原発事故や東日本大震災の被害を知る福島ツアーを開催。パルシステム電力と飯舘電力の案内で17配送拠点と本部に勤務する職員39人が、14年を経てもなお地域に影響を及ぼす放射能被害の爪痕を確認し、生協として食と同じくエネルギーの安全性を考えた。
今回の訪問でパルシステム職員は、帰還困難区域解除に伴い2020年に全線再開したJR常磐線の富岡駅から双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」に向かった。
伝承館では、地震、津波、原発事故の被害を伝える実物資料や証言映像を閲覧。東日本大震災は災害関連死が3808人と阪神大震災以降で突出しており、そのうち福島県が2348人と、原発事故による避難生活で心身共に負担を受けた人たちの存在が影響してる。
展示では、放射能で故郷を離れざるをえなくなり、避難先で受けた心無い言動をつづった子どもたちの作文のほか、子どもが作った標語「原子力明るい未来のエネルギー」の看板なども掲げられていした。
見学後は富岡町の文化交流センターに移動し、(一社)とみおかプラスの吉田恵子理事から、原発事故による避難当時の話を聞いた。発災翌日早朝の避難指示で長蛇の車列に加わり、着のみ着のままで移動を始めた人たちは、防護服を着た警察官に誘導され5時間かけて隣接する川内町に向かった。
その後の避難先ビッグパレットふくしま(郡山市)では、3000人以上の避難者同士のトラブル回避のためコミュニケーションを図ろうと、被災者でもある吉田さんたちが立ち上がった。NPOなどの支援を受け、やることが無い避難者への草むしり参加の呼びかけや、避難所内の喫茶スペースや交番、診療所づくりにかかわるなど、対話を通じそれぞれの困りごとを確認し、次の活動につなげていった。
仮設住宅に移った後も、生活支援のボランティア拠点「おだがいさまセンター」を作り、避難先でも楽しく、新しいことに挑戦してもらおうと、毎日休みなくイベントを開き、多い年では年間1万人以上が参加。このほか、全国に散った避難者の電話帳づくりや地元の言葉によるラジオ放送など、人と人のつながりにより心の復興を目指す活動を紹介した。
首都圏に代わり負担してきた福島
再生可能エネルギーを推進するためのメッセージを伝える千葉さん
パルシステムでんきへ電力を提供する飯舘電力の米澤一造さんと千葉訓道さんは、再生可能エネルギーを推進するためのメッセージを伝えた。
福島県は明治期から、落盤による死亡事故が多発する炭鉱掘削や集落水没を伴うダム建設などで首都圏のエネルギー供給を担い、戦後は原子力発電所の建設が進められ1971年から電気を供給してきた。
福島第一原発の事故を受け、飯舘村は計画的避難区域に。飯舘電力は帰れなくなった土地を活用し、太陽光発電事業を展開している。その収益は事故の教訓を生かす研修に活用され、再生可能エネルギーの普及やコミュニティ再生を目指している。
千葉さんは、パルシステムでんきを選ぶ意味を伝える立場の職員たちに伝えるとともに、再生可能エネルギーは「どこにでもある」「地球がある限りなくならない」「二酸化炭素を出さない」という簡単な切り口で、目に見えないエネルギーの選択の重要性を伝えて欲しいと話した。
再エネで持続可能な地域を
ツアー2日目は、震災伝承施設「とみおかアーカイブミュージアム」を見学。土器や古文書をはじめ地域の風土や歴史を伝える資料から始まり、原発事故により「当たり前の日常」を送れなくなった富岡町を伝えている。
グループワークでお互いの考えを伝え合うパルシステムの職員
見学や講演からさまざまなメッセージを受け取った職員たちは、17のセンターと本部に帰り伝えていくべきことや方法をワークショップ形式で検討した。
「パルシステムでんきの存在を知らない利用者が多い。職員自身も学習する必要がある」「参加した職員が、前向きに相手の共感を得られる表現で伝えていくべき。伝えるための5つの力や再生可能エネルギーの3つのキーワードはとても分かりやすい」「再生可能エネルギーが増えていくことで、原子力発電所を動かさなくても持続可能なエネルギーが生み出せることを伝えたい」など伝え合った。
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