職員が農業の担い手に「農産研修」実施件数が累計100件突破へ グリーンコープ2025年8月19日
西日本を中心に16の生協で構成されているグリーンコープ共同体は、職員が全国の生産者のもとで農作業に従事できる独自の社内制度「農産研修」を実施。2023年の開始以来の実施件数が、7月終了時点で累計90件に到達し、10月には累計100件を突破する見込みとなった。
長野県のりんご産地で摘果作業を体験する職員
この取り組みは、全国の生産者をグリーンコープの職員やワーカーが訪れ、収穫や袋詰め、草刈り、植え付けなど多様な農作業を体験する独自の研修制度。作業を通じて生産者と職員が交流し、職員は生産現場への理解を、生産者は一般の消費者・流通事業者への理解を深める相互理解と、信頼関係を築くことを目的としている。
参加者が負担する費用はゼロ。交通費・宿泊費、研修受講料などの費用はグリーンコープが負担し、業務の一環として参加できる。
2023年の開始以来、2024年度末まで約80回開かれ、のべ200人以上の職員が参加。2025年度も北海道から沖縄まで全国の産地から100件超の受け入れ要請があり、その中から40件を選定し、年間を通じて実施を予定している。実施実績は、10月で100件を超える見込み。
各研修は、生産者ごとに5人前後の参加者が数日間宿泊しながら参加。受け入れる生産者からは「顔の見える交流ができて励みになる」「現場の課題を直接届けられる貴重な場」との声が挙がっている、また、参加した職員からは「作物の背景にある努力やこだわりを知り、産地への敬意が深まった」といった感想が寄せられている。
<実際の研修事例>
・葡萄畑ふくじろう(山口県・周南市)
農薬を一切使わず、毎朝2時間の虫取りを続ける福本さん夫妻のぶどう園。参加者は、害虫と思っていたカメムシが場合によっては益虫としての側面があることや、剪定ばさみとペットボトルを使って一匹ずつ虫を捕る作業の地道さに驚嘆。福本さんの「農薬を使わなくて済むなら、虫取りすればいい」という言葉に深く心を打たれたといいう。
・中村グループ(福岡県・久留米市)
人参やごぼうなどの出荷作業を3日間で体験。袋詰めや収穫、調整作業を通して、見た目には分からない品質管理の厳しさや、作物ごとの丁寧な扱いに触れ、参加者は「野菜1本の裏にこれほどの工夫と手間があるとは」と語っている。
・信濃五岳会(長野県・小布施町)
リンゴの摘果作業を体験。「花の実を落とす」地道な工程を経て、味や品質が決まることを学んだ参加者は、グリーンコープの早期予約制度がこうした手間に報いる仕組みであることを再認識。
・産直南島原(長崎県・南島原)
菊芋の圃場で雑草と格闘しながら除草・間引き作業を行い、自然と共生する現場の大変さを実感。「畑が風通しを取り戻していくのを肌で感じた」と語る参加者も。
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