宮本亞門「人生ドラマグラフ」ひきこもり理解広める全国キャラバン始動 パルシステム2025年9月2日
パルシステム連合会が企画委員を務める「ひきこもり広報事業」の一環である「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」が8月23日、ビジョンセンター横浜みなとみらい(横浜市西区)で開催。会場とオンラインで243人が参加し、演出家の宮本亞門さんによるワークショップやひきこもり経験者と支援者のパネルトークを通じて当事者のさまざまな思いに触れ、理解を深めた。

ひきこもりVOICE STATION全国キャラバンは、11月8日にかけて神奈川、高知、秋田、新潟、奈良、大分の6県の会場で開催。
スタートを切った神奈川県の横浜会場では、クリエイティブプロデューサーを務める宮本さんのファシリテーションで「人生ドラマグラフワークショップ」を実施した。
人生ドラマグラフは、ひきこもり経験の当事者や家族が自身の過去を振り返り、モチベーションの上下を表す。自身もひきこもりの経験をもつ宮本さんの人生ドラマグラフを皮切りに、8人の人生ドラマグラフを当時の気持ちなどを宮本さんと対話しながら紹介した。
宮本さんは実家が新橋演舞場前の喫茶店で、芸能が身近にあったことから、日舞や仏像鑑賞、茶道に興味を持ち、幼いころからたしなんだ。アイドルなどの話題で盛り上がる同級生に嫌われないようにと、周りに合わせ自分を演じるうちに、友達ができなくなり孤独になっていったという。高校入学後に1年間ほど自室に鍵をかけひきこもるようになった。
自身がひきこもっていることを理由に両親が口論となり、酔った父親が母親に暴力を振るい悲鳴を聞いたことをきっかけに宮本さんは部屋から出た。父親に連れていかれた精神科の医師に、学校に行きたくないことや自身の話を全て「良いね、面白いね」と受け止めてもらったことで、登校できるようになった。
宮本さんは、ひきこもっていた時にクラシックやミュージカルを繰り返し聞いていたことで、舞台を目指すようになった。初日を迎える前日に母親が脳いっ血で亡くなり、自分を信じてくれていた母親から「バトンを受け取った」と受け止め生きてきたグラフを紹介した。
自身の人生ドラマグラフを紹介する宮本亞門さん
宮本さんに続き、高校卒業後25年間ひきこもり、母親の認知症をきっかけに支援につながったという当事者や、うつ病の診断を受け外出できなくなった息子を見守る母親など、それぞれの人生ドラマグラフを紹介。参加者たちは、グラフで語った自身や家族のひきこもり体験を宮本さんの演出指導の下朗読劇にし、会場で披露した。
朗読劇は、当事者の過去の体験や思いを他の参加者が演じた。自らの苦しさを言葉にし、他者が語ることで客観視しながら追体験した当事者は「言葉とともに当時の感情がよみがえる」「家族の足音を気にしながら冷蔵庫をあさっていた自分が怪しげに見えた」など振り返った。
宮本さんは「誰もが異なる人生のドラマがあり、封印しないと生きていけない瞬間もあると思います。相手には違う生き方がり、全ての人に認められる必要もありません。固定概念を捨て、自分らしくカラフルな人生を歩いてほしい」とワークショップを締めくくった。
心を大切に「自律」から「自立」へ
イベントでは、ひきこもり支援に携わる4人のパネラーが「自立?自律?生きやすい社会はどっち」とのテーマで対談。支援団体のNPO法人パノラマ理事長の石井正宏さんの進行で、厚生労働省が発行したひきこもり支援ハンドブックの検討委員会委員長を務めた長谷川敏雄さんと経験者で支援者の奈良橋修さん、岡本圭太さんが話し合った。
過去のひきこもり支援は、当事者が就労し、経済的に自立して納税者となることをゴールとしていたと長谷川さんは話す。自分を大切にし、主体的に社会や他者との関係性を構築していく自律を飛び越え、自立を促す社会的価値観を変える過渡期にあると言う。
奈良橋さんは、ひきこもっていた当時は「自分は世の中で生きて行けないと思っていた」というが、ライブハウスでの活動など好きなことが自律につながり、活動資金を得るため自立にたどり着いた。岡本さんは、医療機関などの公的制度を活用したことで就労につながったため、ハンドブックにある自律の考え方に驚いたと話す。
自律から自立に向かうには欲望がエネルギーとなるので、些細なことからでも自分の興味を見つけ、漫画を読んだり、筋トレをしたり、少しずつできることが増えていくといいと2人は伝えた。
社会とかかわり人に認められることは、自己肯定感が上がるきっかけになる。地域でも祭りやボランティアなど参加できる場を増やし、ひきこもりは特別ではなく、誰にでも起こりうると発信し続けることが重要としてディスカッションを終えた。
国際協同組合年に生協として理解広める
ひきこもりVOICE STATION全国キャラバンは、厚生労働省が主催し、文部科学省が後援。当事者や家族、支援団体など知見を有する委員が参加し、企画が検討されている。パルシステムは生活協同組合の立場から、より多くの消費者に「ひきこもり」への理解を広めるため参加する。
各会場では、当事者や地域、家族との連携や表現活動による生きづらさの緩和など、それぞれのテーマを設定。第1部は、開催地域の支援団体や経験者、家族が登壇し、パネルディスカッション形式で経験を話す。誰もが異なる背景を抱えるなか、お互いの声に耳を傾ける「つながり」が生む安心への一歩を伝える。第1部の会場のようすは、オンラインで配信。
第2部のワークショップは、当事者の声をヒントに、誰もが生きやすい地域づくりのアイディアを出し合う。地域の資源を活用し、多様性を受け入れるつながりの形をデザインし、お互いの思いへの理解を深める。
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