10月の飲食料品値上げ3024品目 半年ぶり値上げラッシュ 帝国データバンク2025年10月1日
帝国データバンクは、10月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を行った。10月の飲食料品値上げは3024品目となった。食品分野別では、焼酎やリキュール、日本酒などアルコール飲料を中心とした「酒類・飲料」が最も多く、2262品目。2025年通年では、12月までの公表分で累計2万381品目となった。前年の実績(1万2520品目)を62.8%上回り、2023年(3万2396品目)以来、2年ぶりに2万品目を超えた。
同調査によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした10月の飲食料品値上げは3024品目、1回あたりの値上げ平均値上げ率は17%となった。前年10月(2924品目)から+100品目・+3.4%と10か月連続で前年を上回り、連続増加期間としては前月に続き、2022年の統計開始以降で最長を更新した。また、単月の値上げ品目数としては5か月連続で1千品目を超えたほか、4月(4225品目)以来6カ月ぶりに3千品目を上回った。

2025年10月の値上げを食品分野別に集計すると、焼酎やリキュール、日本酒などアルコール飲料を中心とした「酒類・飲料」が最も多く、2262品目となった。「酒類・飲料」分野で単月あたり2千品目を超えたのは、2023年10月(3198品目)以来、2年ぶり。「加工食品」(340品目)は、包装米飯や餅製品が中心となった。「調味料」(246品目)では、焼肉のたれやみそ製品などが占めた。
2025年通年の値上げは、12月までの公表分で累計2万381品目。前年の実績(1万2520品目)を62.8%上回り、2023年(3万2396品目)以来、2年ぶりに2万品目を超えた。1回当たり値上げ率平均は15%と、前年(17%)をやや下回る水準が続いた。

食品分野別では「調味料」(6148品目)が最も多く、前年(1715品目)から+4433品目・+258.5%と大幅に増加したほか、年間では2022年以降で2番目に多い水準となった。
「酒類・飲料」(4871品目)は、清涼飲料水のほか、ビール、清酒、焼酎、ワインといった洋酒など広範囲で値上げとなり、前年比で8割を超える大幅増となった。2025年における飲食料品値上げの勢いは前年に比べて強い状態が続いた。
値上げ要因では、原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コスト増、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なった。原材料などモノ由来(「原材料高」)の値上げが全体の96.1%を占めたほか、「エネルギー(光熱費)」(64.3%)、「包装・資材」(62.9%)、「物流費」(78.8%)、「人件費」(50.2%)など、主要な値上げ要因ではいずれも半数を超えた。
特に「物流費」「人件費」はともに前年から大幅に増加した。他方、「円安」を要因とする値上げ(12.4%)は前年から大幅に低下。飲食料品の値上げは内的要因による物価上昇にシフトしている。

11月の値上げは「小休止」へ 年間では2万1000品目前後に
2025年の飲食料品値上げは、原材料高に加えて物流費や賃上げによる労務費など、粘着性が高く、国内の経済情勢に起因した圧力が強まっている。特に、「人件費」では昨年以降続いた賃上げによるコストアップが時間差で価格に反映されていることに加え、「物流費」でも2024年問題をはじめドライバー不足を背景とした運賃引き上げに直面している。
飲食料品分野では、円安や悪天候による収量減など一過性の要因に加え、内的要因によるインフレ圧力も加わっており、結果的に2022年以降、3年に及ぶ長期的・持続的な値上げラッシュが発生した要因になったとみられる。
他方で、実質賃金が長らくマイナスの状態で推移したことで消費者における物価高への反発は根強く、小売現場では購買点数の減少、割安なプライベート・ブランド(PB)製品へのシフトといった節約志向が続いている。
食品メーカー各社では、本体価格の継続的な引き上げによって利益を確保する収益構造を目指しており、飲食料品における値上げは長期化・恒常化するとみられるものの、実質賃金の伸び悩みも背景に消費者の理解を得られるかは依然として不透明感が残る。
先行きでは、11月の食品値上げ予定品目数が9月末時点で100品目未満にとどまった。11カ月ぶりに前年同月を下回るとみられ、年内続いた飲食料品の値上げラッシュは年末にかけて小休止を迎える。通年の値上げ品目は、飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年(2万5768品目)の水準には届かないとみられ、2万1000品目前後での着地が予想される。
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