流通:食は医力
【食は医力】第51回 世界に誇る発酵食品2013年5月14日
・味噌にまつわることわざ
・味噌の効用、見直しを
・味噌の効果的な調理法
室町時代このかた味噌醤油は日本人にはなくてはならぬ食材でした。鎌倉時代以降の文献には味噌を贈られたなどという話が頻繁に出てきます。昔から味噌にまつわることわざが多いのも当然かもしれません。
◆味噌にまつわることわざ
「五割のカネを借りても味噌をつくれ」(自家製味噌はそれほど重要だった)
「味噌買う家は蔵が建たぬ」(味噌は自分でつくるべし、買うは浪費家である)
「味噌醤油にも事欠く」(今は事欠いたって別に、かも)
「味噌に入れた塩はよそへは行かぬ」(他人のためにすることは結局、自分のためになる)
「医者と味噌は古いほどよい」(女房と味噌は、というのも)
このほか「味噌をつける」「へたな歌で味噌が腐る」「手前味噌を並べる」などもよく使われます。手前味噌は自分でつくった味噌、転じて自慢話のことです。
◆味噌の効用、見直しを
ここからわかるのは、昔から味噌は自家製が当たり前だったことです。大豆を煮て、すり潰し、米こうじを混ぜ、味噌玉にして熟成させる。こうしてやっと日本的保存食が出来上がるのです。
今ではまれですけれど、昔は農家の軒下には荒縄でしばった味噌玉がぶら下がっていた(そうです)。これは幼少の頃、長野の某村に住んでいた連れ合いの証言ですが・・。手前味噌という表現も親しみが湧いてきますね。
で、その味噌の効用ですが、主原料が大豆だけあって良質のアミノ酸(蛋白質)が豊富です。だから昔、きこりや猟師が山へ入るときに味噌を携行していったのです
大豆はリノール酸、レシチン、ビタミンEなども多く含んでいるので、血管や細胞の老化防止の働きもあります。頭の細胞にももちろん関係するので、味噌汁を日に二度三度いただく中高年は(そうでない場合より)ぼけにくいはずです。
そのほか、乳酸菌の働きで胃腸の掃除や消化器系のガン防止にも役立つことが明らかになってきています。ガン防止にはまだわからないことは多いですが、味噌の有効性はかなり信じてよいように思われます。未病の一つとしてぜひ味噌の利用を増やしてみてください。
◆味噌にまつわることわざ
味噌、醤油はアジアとりわけ日本固有のすばらしい発酵食品なのに、消費量が減ってきているのは寂しい限りです。
その意味でも、同じ量の味噌を使う場合、速成の安価な味噌でなく、じっくり時間をかけてつくられた味噌を大事に使いたいものです。熟成いかんで発酵菌の数がケタ違いに違ってきます。
味噌の使用頻度、一回の使用量が減ってきている背景には塩分過多への忌避があります。確かに味噌は塩分が少ないと分解、酸化が進んで酸敗してしまいがちです。
どうしても塩分過多が心配な場合は減塩味噌にすれば問題はないでしょう。さらにナトリウム(塩分)を排出してくれるワカメなど昆布類を味噌汁にたっぷり入れるようにするのも効果的です。
味噌汁だけでなく味噌和え、味噌田楽、魚や野菜の味噌漬けなど、味噌の使い道はいくらでもあります。味噌ラーメンもいいものです。
そうそう、鉄火味噌はどうでしょうか。わが家でもゴボウ、レンコンなどの根菜類に八丁味噌を混ぜてゴマ油で炒った鉄火味噌をよくいただきました。玄米、胚芽米、白米どれにでも合います。
陰陽からいうと味噌は極めて陽性度が高いので、味噌漬けや味噌和えによって野菜料理が陽性化します。
したがって陰性の強いキュウリに味噌をつけて食べるのは理にかなっています。もっと陰性の強いナスには味噌漬けや味噌炒めがぴったりです。特に冬や梅雨どきには土手鍋や粕汁などで体を温めるといいでしょう。
というわけで日本が世界に誇る発酵食品である味噌をこのあたりで見直して食生活に活かしてみてはどうでしょうか。
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