食品流通 シリーズ詳細

シリーズ:激変する食品スーパー

2015.08.03 
【第5回】変わる既存の基準 新たな体制の確立が急務一覧へ

侵食する新たな脅威 異業態との競争

 食品スーパーに限らず、小売業界は新たな競争の局面に立たされている。高度成長期時代から展開されてきた郊外型の大型店による拡大戦略は限界を迎え、都心をはじめ都市部への出店へと転換しつつある。それに伴い従来の店舗フォーマットを改め、より集客力を高めようと新たなチャレンジを試みる動きが目立っている。

◆小型化する都市の食品スーパー

 食品スーパーにおいても小型化へのシフトが顕著だ。例えば、マルエツ(イオン傘下)が、東京を中心に展開する小型店舗「マルエツプチ」は、好調な業績をけん引する原動力となっている。これに限らず、積極的な出店戦略に取り組む企業の多くが、小型化に対応した店舗フォーマットの開発を進めている。こうした変化によって、当然競合環境も変わり、ここ数年は異業態との競争も激しさを増している。「人口減少」・「高齢化」という要素も加わり、限られたパイ(市場)の奪い合いは避けられそうにもない。今回は、異業態の動きを説明する。


◆即食・簡便性重視CVSの商品構成

seri1508031701.jpg 食品スーパーにとって一番の脅威とされるのが、コンビニエンスストア(CVS)である。
 なかでも業界首位のセブン―イレブンは、昨年4月の消費増税後、勢いを増している。セブン―イレブンでは、素材型の生鮮青果の取り扱いは限定し、あくまでも補完的な品揃えに留まっている。その代わり、カット品や冷凍食品、チルド惣菜などの商品を充実させ、即食・簡便性を重視した商品構成にしている。
 また、一部の地域では農産物直売所型の販売スペースを設け、素材型の生鮮青果を積極的に販売する動きもある。
 業界2位のローソンは多様な業態開発が特徴であるが、2014年に開始した生鮮強化型の「ローソンマート」はわずか1年で撤退と、軌道修正を余儀なくされている。また、業界3位のファミリーマートは業界4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーとの経営統合に向けた協議を進めている。ファミリーマートは規模の拡大を図り、セブン―イレブンに対抗できる競争力を高めようと業界の再編に動いている。
 CVSの強みは、これまで食品スーパーが想定しなかった老若男女幅広い客層からのニーズや要望をいち早く把握し、それを商品やサービスとして全国規模で即時展開できる「スピード」である。これにより、差別化のカギを握る商品構成を優位に進めることができる。商品力の強化は集客力の向上にも寄与するため、食品スーパーもその動向に注意を払っているところである。

(写真)消費増税後も勢い増すセブン―イレブン


◆生鮮食品で伸びるドラッグストア

seri1508031702.jpg もう一つの脅威がドラッグストアである。近年、高齢化の進展に伴う医薬品の利用増大により、来店機会が増えている。ドラッグストアもまた、食料品の品揃えの充実によってさらに来店頻度を増やそうと画策している。
 北陸を地盤とするクスリのアオキは2012年より生鮮食品の販売に取り組み、売り上げを拡大している。15年5月期決算では、既存店売上高が昨年比105.8%と好調で、これも生鮮食品の売り上げが大きく貢献している。
 そもそも医薬品を中心に販売を行っているドラッグストアは、食品スーパーと比較して、粗利益率が高い企業が多い。これは、医薬品の方が食品よりもおおむね粗利益率が高いからである。その高い粗利益率を原資に、食料品を競合他店よりも安い価格で販売し、集客力の強化につなげているのだ。このような取り組みは、「マージンミックス」と呼ばれる。
 マージンミックスとは、粗利益率の高い商品と低い商品を組み合わせて販売し、一定の集客と客単価、粗利益率を確保する手法である。もちろん、食品スーパーやCVSでもマージンミックスを意識して販売を行っているが、粗利益率を確保しやすいドラッグストアが価格競争を優位にしており、価格に敏感な消費者の支持を集めているのだ。

(写真)生鮮食品で売上げ伸ばす「クスリのアオキ」。(輪島店の電子チラシ)

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