米国でGM食品表示法制定の動き2013年4月25日
米国の複数の州議会で遺伝子組み換え(GM)食品を対象にした食品表示法が成立する可能性が出てきているという。GM食品問題などに詳しい天笠啓祐・市民バイオテクノロジー情報室代表は現在、米国の多くの州で表示法制定を求める動きが広がってきていると話す。日本はTPP交渉と並行して米国と非関税措置について交渉を行うことに合意、対象分野には食の安全や表示制度の規制緩和問題も含まれる可能性があることも指摘されている。米国で食品表示の動きが強まれば日米協議にも大きな影響を与えそうだ。
◆30州で市民が要求
天笠氏によれば米国では現在、30州近くでGM食品の表示法制定の動きがあり、このうちバーモント州では州議会での可決が確実な情勢だという。また、ワシントン州では住民投票が行われる可能性もある。
米国では昨年の大統領選の際、カリフォルニア州でGM食品表示を求める住民投票が行われたが僅差で否決された。この住民投票の運動を始めたのは1人の主婦。GM食品が多く出回っていることを知り、米国には食品表示制度そのものがないことを問題だとして声を上げた。この声に賛同者は広がったが、危機感を抱いたバイテク・食品企業が表示をすれば食料品価格の値上げにつながるとのテレビCMなどで大キャンペーンを打ったことが投票行動に影響したと言われている。
その後も表示制度を求める運動は各地で続いているが、関係業界の反発は強く、ハワイ州ではGM食品表示が実現することになったものの、輸入野菜と果物に対象は限定されるなど、骨抜きにされてしまった例もあるという。
バーモント州でも法制定の可能性は高まっているとはいえ、具体的にどう表示をするかを定めた法律になるかは不明で基本法的な性格に落ち着くことも予想されている。
ただ、米国市民が関心を高めているのは表示制度だけではなく、GM農産物の作付け面積が世界一の米国では、除草剤が効かない雑草が増えるなど、環境への影響も懸念されているという。この問題ついては日本の消費者団体の招きで来日するアメリカ食品安全センターのペイジ・トマセリ氏が近く講演する予定になっている(5月18日、星陵会館、主催:日本消費者連盟)。
◆日本のGM表示も課題
一方、日本では新たな食品表示法が閣議決定され国会での成立後は、加工食品の原料原産地表示とともに、GM表示の見直しも検討されていくことになっている。
現在のGM表示制度では33食品が「表示義務のある食品」とされおり、表示義務のない食品が圧倒的に多い。EUは全食品が対象で許容される混入率も低い。
表がそれを比較したもの。とくに日本の制度では「表示義務のある食品」でも、GM不使用の場合、「不使用」との表示は任意とされているため、表示がない食品はGMを使っているか、使っていないかが分からない。それが分かるためには、その食品が表示義務のある食品かどうかをあらかじめ知っておく必要があることになる。
これに対してEUの場合は全食品が対象で表示の仕方もシンプルだ。また、韓国でもGM表示制度があるが、許容する混入率は3%と日本よりも低く、対象品目も上位5位と日本よりも多い。今後の検討に向けてはそれこそ米国の動きも含めて論点を整理する必要がありそうだ。
重要な記事
最新の記事
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日
-
野菜ソムリエが選んだ最高金賞「焼き芋」使用 イタリアンジェラートを期間限定で販売2024年4月26日
-
DJI新型農業用ドローンとアップグレード版「SmartFarmアプリ」世界で発売2024年4月26日
-
「もしもFES名古屋2024」名古屋・栄で開催 こくみん共済coop2024年4月26日
-
農水省『全国版畜産クラウド』とデータ連携 ファームノート2024年4月26日
-
土日が多い曜日まわり、歓送迎会需要増で売上堅調 外食産業市場動向調査3月度2024年4月26日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 一時輸入停止措置を解除 農水省2024年4月26日
-
淡路島産新たまねぎ使用「たまねぎバーガー」関西・四国で限定販売 モスバーガー2024年4月26日