「十勝型GAP」 国内最大規模6千戸が参加2014年8月6日
十勝管内の全24JAでつくる十勝農協連とJAネットワーク十勝は、平成24年に「十勝農業ビジョン2016?選ばれる産地を目指して?」を策定した。
そこでは、▽ブランド化と高付加価値化を図り十勝農業のファンづくりを進める、▽安全安心で高品質な農畜産物の安定供給と産地としての信頼向上、▽生産性の向上や低コスト化で農業所得を向上、▽十勝の経済と生活を支える、という4つの基本姿勢を定め、平成22年に約2600億円だった農業生産額を28年には2900億円にまで高めることを目標に掲げた。
◆オール十勝で安心安全対策
このビジョンの具体化のひとつが「十勝型GAP」の確立だ。
十勝の全24JAと組合員は、10年以上前からオール十勝で十勝産農畜産物の安全・安心対策として、品目別に十勝独自のシステムを構築してきた。
牛では、BSEが国内で発生する以前からモデル事業として牛のトレーサビリティシステムを導入。生乳では、乳業工場への搬入前に安全性を確認するための検査体制の整備や、平成19年には十勝独自の乳温遠隔監視システムを導入し搾乳機器、環境管理を徹底してきた(下図参照)。
畑作・野菜では、JAから出荷される十勝産農産物に対する信頼と十勝ブランド力の向上をめざした「十勝型GAP」がある。
GAP(農業生産工程管理)とは、肥料・農薬の適正利用、栽培、労働環境など、生産の各工程で品質や安全性を維持・向上するための改善運動だ。それぞれ法令や自主基準に従った取り組みが正確に行われているかをチェックリストに記載し、記録、点検、評価する。
◆まだ発展途上 さらに充実を
生産現場がこうした自主管理を徹底していることを示すことで、消費者に安全・安心な農産物をつくっていることをアピールし、ブランド力を高めようというものだ。
十勝型GAPはオール十勝で取り組むことを目標に、22年に12JAでスタート。24年には全24JAが取り組み、25年には十勝管内の全6100戸の生産者、約26万haについて、チェックリスト回収率100%を達成した。
これにより、畑作・野菜での安全・安心対策の体制を確立できたとして、昨年12月末にJAネットワーク十勝の有塚利宣本部長のほか、十勝総合振興局長、帯広市長、帯広商工会議所、十勝管内商工会連合会などが出席し、「十勝産農畜産物の安全・安心を支える取り組み宣言」を発表。
有塚本部長は、「これだけの広域な栽培面積、生産者が一同に参加したGAPは、国内では十勝が初めてだろう」と、全国的にも最大規模の広範囲なGAPを確立した先進的な取り組みであることを強調。さらに「(十勝型GAPは)まだまだ発展途上の運動。認証制度の整備など問題もある。一つひとつ解決しながら、さらなる充実を図りたい」と、今後の取り組み拡大への意欲を述べている。
(関連記事)
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