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遺伝子組換え作物栽培面積20年で100倍に ―バイテク作物商業栽培20周年記念セミナー(下)2016年9月22日

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◆生産現場から切実で現実的な提案が

 セミナーはその後、農研機構生物機能利用研究部門の田部井豊主席研究員が「遺伝子組換え農産物開発20年を振り返って」と題して、紆余曲折があった日本のGM研究の20年を報告。国民の理解を得ることが基本としたうえで、「社会実装が期待される遺伝子組換え生物」として、△遺伝子組換えカイコ(新たな機能性をもったシルク素材の開発が進行中)、△複合病害抵抗性イネ(病害抵抗性は農業生産の基本的特性として期待されている)、△スギ花粉米(スギ花粉症対策として優れていると同時に、腸管免疫寛容を用いたアレルギー疾患の治療法の開発)をあげた。
 そしてさまざまな立場からのGM作物、技術への期待として、本間正義東京大学大学院教授、荒蒔康一郎日本バイオ産業人会議世話人代表、水元伸一農林水産技術会議研究開発官、門脇光一農研機構生物機能利用研究部門長、小野寺靖北海道北見市農業経営者、市川まりこ食のコミュニケーション円卓会議代表が講演した。
 これらの講演のなかでもっとも心動かされたのは、「北海道のビート(甜菜)生産現場の現状とGMビートへの期待」を話された小野寺氏の生産現場からの切実で現実的な要望だった。
 小野寺氏は北見市常呂町で、ビート(12ha)、小麦・野菜(12.5ha)、馬鈴薯(12ha)による3年輪作の農業経営を営んでいる生産者だ。栽培面積はそれぞれがほぼ3分の1ずつとなっているが、除草剤費用は、ビートが全体の67%も占めている。さらに移植時に除草剤を散布するがどうしても畝間に雑草が生えてくるので、これを手取り除草(8月)しなければならない。そのために多くの労働力が必要で小野寺氏の計算によれば、除草に必要な時間は240時間で1日8時間とすると30人/日となる。そのため「大規模になればなるほど、ビートから手がかからない作物へとシフトしている」という。
 国内原料由来の砂糖生産の75%がビート(甜菜)由来で、日本の砂糖消費量の25%を占めている。さらに砂糖原料の搾りかすは家畜飼料としても利用されるなど、ビートは非常に重要な食品原料でもある。
 従来からの移植栽培だと除草作業を含めて10a当たり労働時間は14.82時間だが、これをGMビートの移植栽培にすると、約20%低減の12.34時間に、さらにGMの直播ができれば従来より約60%削減の6.2時間になるという。
 栽培コストも、従来移植の9万5450円/10a当たりから、GMの移植では8万4145円と約12%、GMの直播では6万7817円と約29%削減できる。その結果、政府管掌作物交付金を含めた10a当たり利益は、従来移植が1万6285円、GM移植が2万7590円、GMの直播は、収量は移植に比べて落ちるのだがコストが低減するので、2万8079円と70%以上も増加するという計算になる。これは、12haにすれば141万円以上の所得向上ということだ。
 小野田氏は、所得向上とともに、GMビートで生産ができるようになれば、△手取り除草している女性労働の軽減、△雑草防除に関する精神的ストレスからの解放、△除草剤使用量低減という効果も生産現場にはあるので、国や道の試験場で試験栽培をし、1日も早く生産現場で使えるようにして欲しいと、GMビートによる栽培実現を希望した。
 小野寺氏の話は、抽象的な「あるべき論」ではなく、生産現場でいま何が求められており、それにどう応えていくのという「現実論」であり非常に説得力がある話だった。

・―バイテク作物商業栽培20周年記念セミナー (上) (下)

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