GM作物の実証栽培で提言 日本農学アカデミー2017年3月3日
日本農学アカデミー(古在豊樹会長)は、3月1日、遺伝子組換え(GM)作物の利点の実証栽培を日本各地で行うこと」など、「遺伝子組換え作物の実証栽培に関する提言」を行った。
「提言」では、国の主導で「実証栽培を日本各地で行うこと」や雑草防除や直播で高い効果が期待される「GM除草剤耐性テンサイの栽培試験」に取り組むことなど、3項目を提言している。
提言の全文は以下の通り。
1.国の主導のもとに学術団体も協力し、日本の農業環境においても海外と同様の利点を発揮することを確認するために適切な管理下で、遺伝子組換え作物の実証栽培を日本各地で行うこと。
2.雑草防除と直播に効果が高いと期待される遺伝子組換え除草剤耐性テンサイの北海道における栽培試験が行える環境作りに国と道が取り組むこと。
3.上記の試験結果を公表し、国民的検証に付することにより、遺伝子組換え技術の農業上の利点の理解を促進すること。
◆ ◇
提言の理由として農学アカデミーでは以下のような点を挙げている。
GM作物が1996年に商業栽培されてから20年経ち、栽培国が28カ国に達しその栽培面積は日本の国土面積の4.8倍に相当する1億7970㌶となっている。また、15年現在、全世界の大豆作付面積の83%、トウモロコシの29%、ワタの75%、ナタネの24%を占めていること。
そして、GM作物は、収量向上、生産コスト低減、除草の高度化と効率化、殺虫剤使用の削減、農業者の健康被害の減少などによって各国の農業者から支持されている、など「歴史上、特記される技術革新である」としている。
そのうえで、日本においても、ジャガイモ・大豆・テンサイ・トウモロコシ・ナタネ・ワタ・アルファルファ・パパイアの8作物306種類が承認され、毎年GM作物を1600万㌧(推定値)輸入し、食品原料や家畜飼料として広く利用していることを指摘。にもかかわらず「輸入しているものと同じ遺伝子組換え作物を生産者が栽培することができないという矛盾した状況となっている。この状況から一歩前進するため、実証試験とその結果の国民的検証を求あるものである」としている。
とくに、北海道東部の連作上重要な作物であるテンサイについて、「近年雑草防除問題や労働力不足により、栽培面積が落ちており、持続可能な農業の達成に支障が出ている。遺伝子組換え除草剤耐性テンサイにより雑草防除問題の解決と直
播による生産性の向上が期待されている。また、テンサイは収穫を行う1年目では花が咲かず、交雑の可能性がなく、最初の試験栽培作物として適している」ので、「栽培試験が行える環境作りに国と道が取り組むこと」を求めている。
北海道東部におけるテンサイ栽培については、「バイテク作物商業栽培20周年記念セミナー」で報告した北見市でテンサイ(ビート)、小麦・野菜、バレイショによる3年輪作の農業経営を営む小野寺靖氏の生産現場からの生の声をレポートしているので、参照して欲しい。
https://www.jacom.or.jp/saibai/news/2016/09/160922-30909.php
日本農学アカデミーは「農学徒の英知を結集し、農学の学術的ならびに社会的な役割と責務について産官学を横断した大所高所から分析、検討して、日本と世界の農学に関する学術体制や科学政策のあり方についての提言をまとめ、広く社会に公表する」ことを活動方針とする専門アカデミーである。会員は、日本学術会議会員、農学系の大学長、学部長等、国立市研究機関の長等の現職および経験者等となっている。
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