栽培ギク品種育成で活用 キク属モデル系統の高精度全ゲノム塩基配列を決定2021年10月28日
広島大学大学院統合生命科学研究科の草場信教授と東京大学大学院、かずさDNA研究所、農研機構などの共同研究チームは、栽培ギク(六倍体)によく似た性質を持つ日本原産の二倍体種・キクタニギクの純系化系統(Gojo‐0)の高精度全ゲノム塩基配列を取得し、高精度・染色体レベルで決定することに成功した。
様々な花の形態・花色を持つ栽培ギク
栽培ギクは世界三大花きにも数えられる、日本の切り花生産の3分の1を占める重要な花き品目。栽培ギクの花は江戸時代以前からの長い間の品種改良の結果、多様な形と色があり、その品種分化の解明には興味深いものがある。
いわゆる「菊」は、ゲノムを6セットもつ六倍体であるうえ、自家不和合性であるためヘテロ性が高い。そのゲノム構造は非常に複雑で、栽培ギクで遺伝学的研究を行うのは難しい。この問題を克服するため、栽培ギクに良く似た性質を持つ二倍体種キクタニギクの純系化系統Gojo‐0がモデル系統として開発されている。
全ゲノム塩基配列を用いて作成された分子系統樹
同研究では、栽培ギク(六倍体)によく似た性質を持つ日本原産の二倍体種・キクタニギクの純系化系統Gojo0の高精度全ゲノム塩基配列を取得。キクタニギクの全ゲノムは3.15Gbと比較的大きいが、染色体に対応した9つの連続した配列でその95%をカバーすることができた。キク連の植物において染色体レベルの全ゲノム塩基配列が報告されたのは世界で初めて。キクタニギクのゲノムは栽培ギクのゲノムとよく似ていることが分かり、得られたゲノム情報は栽培ギク品種改良に非常に有用であると考えられる。
キクタニギクゲノムにはレトロトランスポゾンをはじめ、多くの反復配列が含まれていることが分かった。また、今回新たに発見されたレトロトランスポゾンSbdRTは、遺伝子領域周辺に転移しやすいことが明らかになった。
同研究成果は10月7日、科学誌「CommunicationsBiology」にオンラインで掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日