寒冷地の稲作を省力化「無コーティング代かき同時浅層土中播種技術」日本作物学会技術賞を受賞2022年2月18日
農研機構東北農業研究センター、山形県農業総合研究センター水田農業研究所、山形大学、株式会社石井製作所の研究グループは、「寒冷地における耐倒伏性品種を用いた水稲無コーティング種子の代かき同時浅層土中播種技術の開発」で、作物生産に係わる技術開発普及啓発に関する業績をあげたことで、第12回日本作物学会技術賞を受賞した。
無コーティング代掻き同時播種機による作業風景
同技術は国内の主要稲作地帯である東北などの寒冷地で従来、必要としていた種子コーティングが不要となる直播技術。代かきと同時に播種可能なことから資材コスト、人件費、作業時間を大幅に削減でき、慣行の移植以上の売上と利益を上げることが可能となる。
この技術を体系化し製品化したものを「無コーティング代かき同時播種機」として、石井製作所が2018年から販売している。同機は、代かき後の田面の極浅い土中に播種することを目的に、代かき用ハローに装着する播種ユニットと鎮圧ローラーからなる直播機。約0.5センチ深の極浅い土中播種が可能で、鉄コーティングと同程度の苗立率が得られると同時に、浮き苗や出芽前の鳥害の軽減が可能となった。
秋田県における無コーティング代かき同時播種水稲の生育推移(左から播種直後、播種1か月後、夏~秋の収穫前)
これまで1センチ程度の土中播種では、出芽を促進するために過酸化石灰資材(カルパー)やべんがらモリブデンのコーティングが必要で、表面播種では浮き苗や鳥害を防ぐために鉄コーティングが必要だった。同機により極浅い土中に播種することで、これら資材とコーティングの手間を省略できる。播種深が浅いことで転び型倒伏しやすい点は、短稈の耐倒伏性品種「萌えみのり」などの使用で解決した。
国内では担い手の高齢化や水田作経営体の大規模化に伴い、湛水直播は東北・北陸地域で重要な位置づけ。この湛水直播は苗立ちを安定化するための処理として半世紀以上種子コーティングが必要だった。一方、種子コーティングは資材コスト、手間。コーティング技術が必要であるため、苗立ちに失敗する原因にもなっていた。アメリカやイタリアなどでは種子コーティングを用いない湛水直播技術の実例があり、播種量を増やすことで苗立ちを安定させていたが、日本国内で導入するにはコスト面で難しい体系だった。
同研究グループは、今後の国内農業の維持し発展させるには湛水直播の普及面積をさらに拡大し、省力化・省人化を進めコーティング資材を用いない低コストで安定的な苗立ちが得られる技術開発が重要と考え、苗立ちを安定化するために浅い土中に代かきと同時に播種する播種機と出根した種子(根出し種子)を用いて、無コーティングでも苗立数を安定して確保できる栽培技術を開発して普及を進めた。今後は、寒冷地を中心として本技術・機械普及を本格化し、農家の省力化につばげていく。
直播に用いる従来種子と無コーティング種子(左から無コーティング種子、鉄コーティング種子、モリブデンコーティング種子)
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