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アジア在来コムギの黄さび病抵抗性の遺伝的基盤を解明2025年6月11日

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横浜市立大学木原生物学研究所の清水健太郎客員教授(チューリッヒ大学 進化生物・環境学研究所長・教授兼任)と京都大学農学研究科の那須田周平教授、国際農林水産業研究センター岸井正浩主任研究員らの研究グループは、高精度のゲノム情報と最新の解析手法を用いて在来品種を中心とするアジアのコムギ交配系統の黄さび病抵抗性(図1)を解析し、特にヒマラヤ山脈南側の地域の在来品種のゲノムに黄さび病抵抗性を司る領域があることを解明した。この研究成果を育種に応用することで、病害に強いコムギを作出でき、食料安定供給への貢献が期待される。

図1:コムギ黄さび病の症状。左の写真(Katharina Jung提供):感染程度の低い系統(左)と高い系統(右)の寄せ植え。右の写真(岸井正浩提供):感染程度の異なる葉の例。下方の葉ほど感染程度が高い。図1:コムギ黄さび病の症状。
左の写真(Katharina Jung提供):感染程度の低い系統(左)と高い系統(右)の寄せ植え。
右の写真(岸井正浩提供):感染程度の異なる葉の例。下方の葉ほど感染程度が高い。

同研究では、ネパール、パキスタン、中国、日本の25の在来・近代品種を用いて世界のコムギ生産に大きな打撃を与えている黄さび病への抵抗性の遺伝的基盤を研究した。

この研究を可能にしたのが、国際コムギ10+ゲノムプロジェクトの一環として2020年に横浜市立大学のJST CRESTプロジェクトを中心にして解読された、日本を代表するコムギ品種農林61号の高精度のゲノム情報と、京都大学において新田みゆき研究員らによって上記25品種から作出されたNAM集団と呼ばれる交配系統。

チューリッヒ大学のKatharina Jung博士課程学生(当時)や秋山玲子CREST研究員(当時)は、まず上記25品種のうち事前調査でさび病抵抗性を示した14品種から作出された1060の交配系統を、コムギ育種の世界的拠点であるメキシコのCIMMYTとスイスの圃場で各2年にわたり栽培し、黄さび病抵抗性を評価。また、京都大学等との共同研究によりこれら交配系統のゲノム情報を収集した。

その上で黄さび病抵抗性データとゲノム情報を京都大学のJilu Nie博士課程学生(当時)らによって開発されたコンセンサスマッピングの手法と農林61号の高精度のゲノム情報を用いて解析した。

図2:研究で明らかになったアジアのコムギ14品種の黄さび病抵抗性と各品種の由来地。図2:研究で明らかになったアジアのコムギ14品種の黄さび病抵抗性と各品種の由来地。

その結果、ネパールやパキスタンなどヒマラヤ山脈の南側地域の在来品種のゲノム上に新規と考えられる黄さび病抵抗性をもつ領域(遺伝子座)があることが明らかになった(図2)。

ヒマラヤ南側地域は黄さび病病原菌の起源地であると考えられており、病原菌の遺伝的多様性が高いことが知られる。このことから、この地域の在来品種は長年にわたり多様な黄さび病病原菌にさらされてきたため、コムギの病原抵抗性が進化していた可能性が示唆される。さらに、日本の在来品種である延岡坊主小麦にも黄さび病抵抗性遺伝子座が見つかり、日本を含むアジアの在来品種の有用性が示された。

同研究は、木原均博士以来の半世紀以上にわたる日本のコムギの基礎研究によってもたらされたアジアの遺伝資源を活かし、現代のグローバル化と気候変動化における課題であるコムギ黄さび病への対策の糸口を見出した。これまで育種に利用されてきた病原抵抗性遺伝子では、短期間で耐性株が出現したために有効性が失われることが多かった。

一方、今回発見された黄さび病抵抗性遺伝子座は、ヒマラヤ山脈南側などの広い地域の品種に分布していることなどから、持続的に抵抗性を発揮できる可能性がある。同研究の成果を育種に応用することで食料安全保障への貢献が期待される。

同研究成果は6月5日、国際科学誌『Theoretical and Applied Genetics』誌に掲載された。

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