秋肥 前期比4.7%値上げ-JA全農2017年5月26日
前年同期では5.8%値下げ
JA全農は5月26日、平成29年秋肥の主要品目価格を決定した。複合肥料は基準銘柄で前期比4.7%の値上げとなる。肥料原料や海上運賃の上昇と急激な円安が影響した。ただ、前年同期比(前秋肥対比)では▲5.8%の値下げとなる。価格は6月から適用される。
高度化成(一般、成分:15-15-15%)は前期比(春肥対比)+4.7%で合意した。ただ、前年同期比(秋肥対比)では▲5.8%となっている。
単肥は以下のように合意した。
○尿素(輸入、46%)+11.9%(秋肥対比▲2.8%)
○硫安(大粒、21%)+4.9%(同+1.9%)
○過石(17%)+1.8%(同▲1.7%)
○塩化カリ(同:60%)+10.2%(同▲11.2%)
全農はあわせて今回の合意に関連する肥料をめぐる情勢を発表した。
肥料原料の国際市況、海上運賃は下落していた昨年と様相が一変しているという。
輸入尿素、輸入リン安の国際市況は大口需要国のインド、ブラジルなどの需要回復と、環境規制による中国の生産制限などによる世界的な需給の引き締まりから前期価格決定時(28年8~9月)にくらべて大幅に上昇しており、今後も強含みで推移すると見込まれている。また、塩化カリは主要山元が大幅な値上げを打ち出しており、今後も強含みで推移すると見込まれている。
海上運賃は老齢船のスクラップや新造船のキャンセル、荷動きの活発化で需給が引き締まって市況は強含みで推移すると見込まれている。
外国為替はトランプ大統領の就任以降はやや円高となったものの、前期価格決定時の1ドル100~105円が現在は112~114円と円安が進行した。
海外原料価格は、こうした値上がりが見込まれるものの、現在の市況価格と海上運賃の見通し、実勢為替レートをふまえて決定した。
原油市況は前期価格決定時には1バレル40ドル台半ばで推移していたが、年末にかけての産油国間の協調減産合意により、現在は50ドル台に上昇している。肥料製造諸経費についてメーカー各社から大幅な値上げ要求があったが、メーカーに対して強く合理化を求め値上げ幅を圧縮して決着した。
あわせてJA全農は自己改革の取り組みである新たな共同購入運動についての状況を発表した。 平成30年(2018年)春に使用する肥料(29肥料年度春肥:29年11月~30年5月)から、高度化成一般とNK化成一般を対象に銘柄集約によって絞り込んだ銘柄について組合員の事前予約数量を積み上げて、その数量をもとに相見積もり、入札などで徹底比較してもっとも有利な価格・工場を決定することにしている。
メーカーが製造諸経費や配送運賃など国内要因コストを大幅に削減し肥料価格の引き下げにつなげる取り組みだ。6月までに生産者に受注・購入方式の転換について周知し、9月末までに事前予約を積み上げ、10月以降にもっとも有利な価格・工場を決定する。全農によるとスケジュールどおり順調に取り組みを進めており、現在は組織内で周知徹底を図っているという。
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