秋肥 高度化成28%値下げ JA全農2023年5月26日
JA全農は5月26日、2023(令和5)肥料年度秋肥(6~10月)価格の決定内容を公表した。高度化成(基準)は春肥対比で28%値下げとなる。ただ、一部は電力料金の上昇で値上げとなるものがあるほか、価格変動率は県JAや経済連向け供給価格ベースであり、JAや農家向け供給価格の変動率とは一致しない。

肥料原料の国際市況は世界的に荷動きが低調になったことや、ロシアへの経済制裁に参加しない国向けにロシア品の供給が継続したことから下落に転じている。
為替は130円台後半まで円安が進行しているが、輸入原料である尿素、りん安、加里の価格はいずれも値下げとした。
一方、国内の製造諸経費は電力、トラック運賃など物流費、人件費などが上昇していることから全農はメーカーと値上げで妥結。その結果、一部で値上げする単肥はあるものの、ほぼ値下げとなった。高度化成(基準)は28%の値下げ。春肥では10%の値上げとなったことから、それに比べて2割弱程度の値下げとなる。
ただ、各地では価格高騰時に仕入れた在庫があるため、今回の価格決定がJAや農家向け価格にただちに反映されるとは限らないという。
また、国内産原料から製造される石灰類やマグネシウムなど苦土肥料、けい酸質資材、育苗倍土などは製造諸経費の上昇影響が大きく値上げとなるものもあるほか、有機質肥料も需給タイト化で値上げとなるものがある。
全農によると尿素の国際市況は、昨年秋に天然ガス価格が急騰した影響を受け一時市況が高騰したが、その後は世界的に需給が緩んだことなどで下落しているという。
りん安は穀物市況の軟化やブラジルの輸入量の減少など世界的に荷動きが低調になったことから下落している。今後はブラジルやインドが輸入を再開していることや、りん安の輸出大国である中国の輸出規制政策が不透明なこと、さらに原料のりん鉱石が高値で推移していることから、市況は堅調に推移すると見込まれている。
加里の国際市況は、ロシアのウクライナ侵攻の影響で短期間に大幅に上昇。2021年4月を指数100とすると22年4月には350を超えるかつてない水準まで急騰した。その後は、価格高騰による需要減や、ロシア品の輸出継続で下落に転じ、直近では指数は146まで下がっている。当面、国際市況は軟調に推移すると見込まれている。
外国為替相場は4月以降、1ドル130円~135円の水準で推移。現在はさらに円安が進行し、今後は見通しにくい状況となっている。
こうしたなか、全農は国内の肥料価格は高騰前と比べて高い水準にあることから、肥料原料の安定確保に向け▽調達国の多元化、▽国の備蓄支援事業を活用した国内在庫の積み増しに取り組む。
また、土壌診断に基づき施肥コストを抑制する施肥体系への転換、栽培暦や注文書への反映を進めるほか、堆肥入り複合肥料など、国内肥料資源を活用した広域銘柄を設定しブロック域での普及拡大に取り組む。
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